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アイヌ料理に使われた山菜?アマニュウ(甘にゅう)の特徴やエゾニュウとの違いなど解説

高山に自生する大型の植物アマニュウ(甘にゅう)をご存知でしょうか。

アイヌ料理に使われていたことや、有名な漫画に登場したことで知られる植物で、エゾニュウとは異なる種です。

本記事では、アマニュウの花や葉の特徴から花言葉、エゾニュウなどの似た花との見分け方について解説いたします。

記事後半では、アマニュウの食べ方についても紹介していますので、最後までご覧ください。

目次

アマニュウとは?

アマニュウとはどんな野草なのか?

アマニュウの基本情報について解説いたします。

アマニュウの基本情報
アマニュウの名前の由来
アマニュウの花言葉

アマニュウの基本情報

学名Angelica ursina
英名
和名アマニュウ(甘にゅう)
別名・流通名マルバエゾニュウ、マルバアマニュウ
科名セリ科
属名シシウド属
原産地日本
日本での主な生息地北海道、本州北~中部

アマニュウの名前の由来

アマニュウは食べると甘みがあること、そしてアイヌ語の「ニュウ(食用になる)」という言葉から生まれた名前です。

また、仲間のエゾニュウに似ており葉が丸いことから「マルバエゾニュウ」や「マルバアマニュウ」という別名も付いています。

アマニュウの花言葉

アマニュウの花言葉は不明です。

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アマニュウの特徴

アマニュウの特徴は以下の通りです。

アマニュウの自生地
アマニュウの花の特徴
アマニュウの葉の特徴

花が咲く季節7月、8月
実のなる季節
生活型多年草
生活様式地生
草丈・樹高1,000~2,000mm
葉の形1~2回3出羽状複葉
花のつき方複散形花序
花の色
葉の色
繁殖方法
日照条件日向
水分の必要性必要
土の必要性必要

アマニュウの自生地

アマニュウは日本特産の植物で、北海道と本州の北〜中部、四国に分布しています。

本州では高原、北海道では林縁や林道沿いに自生することが多く、いずれにしても山地や草原で生育します。

アマニュウの花の特徴

アマニュウは高さ1~3mにまで伸びる太い茎の先で多数分岐する花茎の先端に、径200mmにも及ぶ大型の複散形花序を付けます。

小型で白色をした5弁花が密集しており、白い傘のようにも見える外見が特徴的です。

また、小花の下には花を支える「小総苞片」があります。

アマニュウの葉の特徴

アマニュウの葉は3出羽状複葉または2回3出羽状複葉の形状をしており、頂小葉(軸の頂点に付く葉)はさらに3裂しています。

小葉は卵形~菱状の卵形で、やや薄い質感と裏面の葉脈上に生えた毛が特徴的です。

また、茎から出る葉柄の基部は膨れて鞘のような形状になっています。

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アマニュウと似た花

左:アマニュウ 中左:エゾニュウ 中:シシウド 中右:シラネセンキュウ 右:オオバセンキュウ

アマニュウに似た植物はエゾニュウだけではありません。

ここでは、アマニュウに似ている植物の種類とそれぞれの見分け方について解説いたします。

アマニュウとエゾニュウの違い
アマニュウとシシウドの違い
アマニュウとシラネセンキュウの違い
アマニュウとオオバセンキュウの違い

<比較表>

比較アマニュウエゾニュウシシウドシラネセンキュウオオバセンキュウ
・茎先に大型の複散形花序を付ける
・白色の5弁花
・小総苞片が数個ある
・茎先に大型の複散形花序を付ける
・白色の5弁花
・茎先に大型の複散形花序を付ける
・白色の5弁花
・小総苞片がない
・茎先に複散形花序を付ける
・白色の5弁花
・小総苞片が多数ある
・花弁の裏面に毛がある
・茎の頂上と分岐した先に複散形花序を付ける
・白色の5弁花
・線形の小総苞片が数個ある
・花弁の裏面に毛がある
・1〜2回3出羽状複葉
・小葉は薄く丸い
・表面に光沢がある
・裏面の葉脈上に毛がある
・2~3回3出羽状複葉
・羽状に裂ける
・裂片は先が尖った楕円形
・2~3回3出羽状複葉
・小葉は先が尖った楕円形
・3〜4回3出羽状複葉
・小葉は卵形で薄い
・裏側は白色を帯びている
・1〜2回3出羽状複葉
・小葉は長卵形~広披針形
・下方へ弓なりに曲がる
草丈1,000~2,000mm2000〜3000mm1000〜2000mm800~1,500mm600~1,800mm
季節7月、8月7月、8月8~11月9~11月7~9月

アマニュウとエゾニュウの違い

アマニュウと非常によく似た外見のエゾニュウですが、大きな違いは小葉の形にあります。

「マルバエゾニュウ」という別名の通りアマニュウの葉は丸みを帯びていますが、エゾニュウの葉は羽状に裂けており裂片は先が尖った楕円形です。

アマニュウとシシウドの違い

アマニュウやエゾニュウの仲間であるシシウドも外見がよく似ていますが、花の下に小総苞片がありません。

また、小葉は楕円形でエゾニュウの葉の裂片を思わせる形状ですが、草丈はエゾニュウより比較的低めです。

アマニュウとシラネセンキュウの違い

シラネセンキュウはアマニュウよりも草丈が低く、茎は細いため全体的に小柄な印象です。

葉は3〜4回3出羽状複葉で分岐が多く、小葉は薄い質感で卵形をしています。

また、小総苞片が多数付いています。

アマニュウとオオバセンキュウの違い

オオバセンキュウもアマニュウよりは小柄で、茎先または分岐した茎の先に花を付けます。

葉の形状は1~2回3出羽状複葉で、シラネセンキュウよりも規則性のある分岐が特徴的です。

小葉は長卵形~広披針形で、下に向けて弓なりに曲がっています。

小総苞片はありますが、線形で数個しかありません。

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アイヌ人に食用として親しまれたアマニュウ

アマニュウとはアイヌ語で「食用になる」を意味し、アイヌ人の間で食用とされていました。

なお、アイヌ語ではアマニュウのことを「チスイェ」や「チフイェ」といいます。

主な食べ方としては茎の皮を剥いて固い繊維質を取り除き、生のまま食べるというものです。

他にも煮物や和え物に調理したり、乾燥して冬の保存食にもしたと言われています。

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アマニュウ(サク)の食べ方

山菜としてのアマニュウやエゾニュウは「サク」とも呼ばれており、様々な料理に使うことができます。

アマニュウ(サク)のレシピ①:チスイェラタシケプ
アマニュウ(サク)のレシピ②:アマニュウの煮物

アマニュウ(サク)のレシピ①:チスイェラタシケプ

ラタシケプとは「混ぜるもの」という意味で、日本料理のごった煮や置き沖縄のチャンプルーにあたります。

チスイェラタシケプは、その名の通りチスイェ(アマニュウ)を使って作るラタシケプのことです。

豆を炊いて柔らかくなったところに、初夏に採取したアマニュウを加えます。

それをさらに炊き、獣脂と魚油で味を調えたら完成です。

アマニュウ(サク)のレシピ②:アマニュウの煮物

フキノトウやウドと同じように、煮物にしても美味しく食べることができます。

セリ科特有の香りとシャキシャキした食感を存分に楽しむため、味付けはシンプルなものがおすすめです。

最初にアマニュウの茎の皮を剥き、サッと湯がいてあく抜きをします。

食べやすい大きさに切ってから油でいため、煮汁を加えて柔らかくなるまで煮込んだら完成です。

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アマニュウが見れる場所・植物園

アマニュウの目撃情報や、生育情報が確認された場所は以下の通りです。

北海道大学植物園
・唐松岳(登山道)
函館山 宮の森コース
北尾根高原(八方尾根北尾根)
霧降高原
など

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アマニュウの目撃情報

SNS上に寄せられた、アマニュウの目撃情報をご紹介いたします。

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アマニュウに関するFAQ

アマニュウについてよくある質問を集めてみました。

アマニュウとエゾニュウの簡単な見分け方はありますか?
アマニ油はアマニュウからできていますか?

アマニュウとエゾニュウの簡単な見分け方はありますか?

アマニュウとエゾニュウは、葉の形を見ると区別が可能です。

アマニュウの葉は丸みを帯びていますが、エゾニュウは先端の尖った楕円形でシャープな見た目をしています。

アマニ油はアマニュウからできていますか?

アマニ油の原料は「アマ」の種子を原料とした油なので、アマニュウとは別物です。

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まとめ

アマニュウは北海道や本州中部以北などに自生する、大型の山野草です。

人間よりも高い草丈と大ぶりな花序が特徴的で、間近で見ると傘のような印象を受けることでしょう。

また、アマニュウは食べることができるためアイヌ人の間で親しまれた食材でもあります。

主な食べ方としては生食や「チスイェラタシケプ」という伝統料理、煮物などです。

ただし自生しているものは汚れていたり虫が付着していることも多いため、食べる場合は十分な注意が必要です。

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