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ハマボウフウ(浜防風)とは?花や葉の特徴を画像付きで解説

ハマボウフウ(浜防風)はお刺身のツマや天ぷらなど、様々な日本料理に用いられることが多い野草です。

知名度の高い野草ですが、近年は絶滅が危惧されています。

本記事ではハマボウフウの花や葉の特徴から似た野草について解説いたします。

記事後半では、ハマボウフウの食べ方も紹介していますので、参考にしてみてください。

目次

ハマボウフウとは?

ハマボウフウとはどんな野草なのか?

ハマボウフウの基本情報について解説いたします。

ハマボウフウの基本情報
ハマボウフウの名前の由来
ハマボウフウの花言葉

ハマボウフウの基本情報

学名Glehnia littoralis
英名American Silvertop
和名ハマボウフウ(浜防風)
別名・流通名ヤオヤボウフウ(八百屋防風)
科名セリ科
属名ハマボウフウ属
原産地日本、朝鮮、中国、サハリン、アムール、ウスリー、千島列島
日本での主な生息地北海道~南西諸島

ハマボウフウの名前の由来

ハマボウフウという名前の由来は諸説ありますが、最も有名なものが「中国原産の薬草”防風”と根の薬効が似ており、浜に自生するから」という説です。

また、浜の砂地に自生するハマボウフウは、地上部に対して10倍の長さになる根で水を吸い上げながら乾燥をしのいでいます。

深くまで根が伸びることで、風で地上の砂が飛散することを防ぐ効果があるからハマボウフウと名付けられたという説もあります。

別名のヤオヤボウフウは、八百屋の店先に高級野菜として売られていたことが由来です。

ハマボウフウの花言葉

ハマボウフウの花言葉は、「恋の芽生えた瞬間」です。

キュンとしてしまうような、花言葉をもつハマボウフウ。

浜辺に咲く白い花が、恋した瞬間の気持ちを表しているのではないでしょうか。

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ハマボウフウの特徴

ハマボウフウの特徴は以下の通りです。

ハマボウフウの自生地
ハマボウフウの花の特徴
ハマボウフウの葉の特徴
ハマボウフウの実の特徴

花が咲く季節6月、7月
実のなる季節7月
生活型多年草
生活様式地生
草丈・樹高50〜400mm
葉の形1~2回3出複葉
花のつき方複散形花序
花の色
葉の色
繁殖方法
日照条件日向
水分の必要性必要
土の必要性必要

ハマボウフウの自生地

浜辺に自生するハマボウフウ

ハマボウフウは、カムチャッカ半島以南の海岸地帯に自生しています。

日本では北海道から南西諸島にかけて分布しているものの、近年は海浜の浸食や乱獲などが原因で自生地が激減しているようです。

様々な料理に使えるだけでなく、優れた薬効をもつことで有名なため乱獲に拍車がかかっている傾向にあります。

福島県では、「絶滅危惧II類」としてレッドデータブックにも記載されています。

現在流通しているハマボウフウの大半は栽培されたものですが、砂浜のある海岸をよく探すと天然の自生物も見つけることができます。

ハマボウフウの花の特徴

ハマボウフウは茎の先に複散形花序を出しており、白色の小さな花を密に付けたカリフラワーのような外見が特徴的です。

花は直径4mm程度で、花序には白い軟毛が密生しています。

雄しべは5本、雌しべは1本です。

ハマボウフウの葉の特徴

ハマボウフウの葉は1〜2回3出複葉で、小葉は楕円形をしています。

長さ20〜50mm・幅10〜30mmとなっており、肉厚で光沢感があります。

また、小葉や裂片の縁には小さな鋸歯が付いています。

ハマボウフウの実の特徴

花が終わると花弁がなくなり、果実形成期に入って針のような花柱が目立つ実が確認できます。

育つにつれて赤紫色へと色が変わっていき、完熟すると中から種子が散乱します。

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ハマボウフウに似た花の見分け方

左:ハマボウフウ 中左:ボタンボウフウ 中右:アシタバ 右:マルバトウキ

丸いポンポンのように密集した花が特徴的なハマボウフウですが、「ボタンボウフウ」や「アシタバ」、「マルバトウキ」も似たような外見をしています。

それぞれハマボウフウとどのように見分ければ良いのか、下記より解説いたします。

ハマボウフウとボタンボウフウの違い
ハマボウフウとアシタバの違い
ハマボウフウとマルバトウキの違い

<比較表>

比較ハマボウフウボタンボウフウアシタバマルバトウキ
・複数形花序
・白く小さな花を付ける
・散形花序
・白く小さな花を付ける
・複散形花序
・淡い黄色の小さな花を付ける
・複数形花序
・白く小さな花を付ける
・1〜2回3出羽状複葉
・小葉は楕円形
・厚みと光沢がある
・縁に鋸刃がある
・2~3回3出羽状複葉
・小葉は倒卵状くさび形
・小葉の先が2~3裂している
・1〜2回3出羽状複葉
・小葉は広卵形
・小葉の先が裂けている
・傷つけると黄色い汁が出る
・2回3出複葉
・小葉は卵形~円形
・厚みと光沢がある
・縁に鋸刃がある
・枝分かれする
・高さ 50〜400mm
・太く二股に枝分かれする
・高さ600〜1000mm
・傷つけると黄色い汁が出る
・500〜1200mm
・上部で枝分かれする
・しばしば紫色を帯びる
・高さ300〜1000mm
季節6月、7月7月、8月8~10月7~9月

ハマボウフウとボタンボウフウの違い

ボタンボウフウも茎先に白く小さな花を密集させていますが、花の付き方は「散形花序」なのでハマボウフウよりも丸みを帯びた印象はありません。

また、先が2〜3裂している葉もハマボウフウとは異なる部分です。

花の「ボタン」に似た葉を付けていることから、ボタンボウフウと名付けられました。

ハマボウフウとアシタバの違い

同じような草丈と茎先に複数形花序を付ける点はハマボウフウと共通していますが、花の色は淡い黄色です。

葉は1〜2回3出羽状複葉で小葉の縁には小さな鋸歯がありますが、先端はさらに裂けています。

また、葉や茎を傷つけると黄色い汁が出てくる性質も大きな違いです。

ハマボウフウとマルバトウキの違い

マルバトウキは草丈が300〜1000mmと、ハマボウフウよりも高い傾向にあります。

2回3出複葉で、小葉は長さ40〜90mmの卵形~円形となっておりサイズも大きいです。

花はハマボウフウと同じく複数形花序ですが、花の密度は比較的薄くなっています。

また、全体的に無毛である点も分かりやすい違いです。

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ハマボウフウは食べることができる?

ハマボウフウは食べることができ、香り高い高級食材として有名です。

食用としては、新芽をお刺身のツマとしたり天ぷらとして調理したりなど様々な日本料理に使われています。

ここでは、食用としてのハマボウフウが持つ特徴について詳しく解説いたします。

ハマボウフウの味
ハマボウフウの栄養価
ハマボウフウの食べ過ぎには注意

ハマボウフウの味

ハマボウフウはシャキシャキとした食感と、セリ科特有の爽やかな風味が特徴的です。

早春の若いハマボウフウは特に香りが強く、食用としては花が咲くまでの3〜5月頃が旬とされています。

クセがないためそのまま天ぷらにもできる他、さっと湯がいてから和え物にするとお酒によく合います。

ハマボウフウの栄養価

ハマボウフウには、主に以下の栄養が含まれています。

・食物繊維

・β-カロテン

・ビタミンC

・カルシウム

・カリウム

・亜鉛

・銅

ヘルシーレシピ

また、ハマボウフウの根は昔から民間療法薬として用いられていました。

根は発汗、解熱、鎮痛、風邪、関節炎、肩こり、婦人病などの症状改善に期待ができると言われています。

ハマボウフウの食べ過ぎには注意

ハマボウフウは乱獲などが原因で、個体数が減少傾向にあるという事情も考慮することが大切です。

根ごと採取してしまうと、その場所から採取することができなくなります。

採取する場合は、1株から葉を少しずつ切り取りましょう。

ハマボウフウの美味しい食べ方

ハマボウフウは栽培されたものであれば柔らかいですが、自生する天然物は香りが強い代わりにやや固めです。

そのため、天然物を食べる場合は熱湯にさっとくぐらせてから冷水にとって冷やしましょう。

以下より、ハマボウフウを美味しく食べることができるおすすめの料理例をご紹介いたします。

おすすめ料理①:ハマボウフウの天ぷら
おすすめ料理②:ハマボウフウの酢味噌和え
おすすめ料理③:ハマボウフウのおひたし
おすすめ料理④:ハマボウフウのサラダ
おすすめ料理⑤:ハマボウフウの味噌汁

おすすめ料理①:ハマボウフウの天ぷら

ハマボウフウを使った料理としては、天ぷらが代表的です。

表面にごく薄く小麦粉をまぶし、衣をくぐらせてさっと揚げます。

葉にほろ苦さがありますが、えぐみや繊維質が少ないため上品な味わいの天ぷらに仕上がります。

おすすめ料理②:ハマボウフウの酢味噌和え

さっと湯通ししたハマボウフウを冷水に晒し、酢味噌を絡めた和え物です。

ハマボウフウの香りとお酢の酸味、味噌のコクがよく合います。

レシピがシンプルなので、誰でも失敗せず美味しく仕上げることができます。

おすすめ料理③:ハマボウフウのおひたし

おひたしにする場合は熱湯で茹でたハマボウフウを冷水で冷まし、お好きな味付けで食べましょう。

白だしやぽん酢、醤油などとよく合います。

おすすめ料理④:ハマボウフウのサラダ

他の野菜と合わせてサラダにすると美味しいだけでなく、彩りをプラスすることもできます。

野菜サラダだけでなく、春雨と合わせて春雨サラダにしても良いでしょう。

おすすめ料理⑤:ハマボウフウの味噌汁

ハマボウフウは味噌汁の具として使われることも多いです。

味噌や出汁の風味を邪魔しないよう、ハマボウフウは香りづけ程度に少しだけ入れると良いでしょう。

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ハマボウフウが見れる場所・植物園

ハマボウフウの目撃情報や、生育情報が確認された場所は以下の通りです。

弓ヶ浜公園
佐渡島
鳥取砂丘
・遠州灘海岸
・伊勢湾周辺
植物多様性センター
など

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ハマボウフウの目撃情報

SNS上に寄せられた、ハマボウフウの目撃情報をご紹介いたします。

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ハマボウフウに関するFAQ

ハマボウフウについてよくある質問を集めてみました。

ハマボウフウは冬でも見ることができますか?
ハマボウフウは冷凍保存できますか?
ハマボウフウは何色ですか?

ハマボウフウは冬でも見ることができますか?

ハマボウフウは冬になると休眠状態に入りますが、地上部がないため見ることが困難です。

ハマボウフウは冷凍保存できますか?

ハマボウフウを冷凍保存すると、食感や香りを損なう可能性があるためおすすめできません。

冷蔵で保存し、なるべく早めに食べましょう。

ハマボウフウは何色ですか?

ハマボウフウは花が白、葉・花柄・葉柄は緑、茎は紅紫色をしています。

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ハマボウフウの育て方

ハマボウフウのガーデニング情報
ハマボウフウの育て方カレンダー
ハマボウフウの栽培方法

ハマボウフウのガーデニング情報

ハマボウフウは種や苗を購入すれば、自分で栽培することも可能です。

ただし砂地で育つ植物なので、鉢植えには向いていません。

栽培難易度普通
株間300mm~500mm
種まきの時期4~6月
発芽温度15~20℃
生育温度10~25℃
耐寒温度0℃
耐暑温度30℃

ハマボウフウの育て方カレンダー

スクロールできます
時期1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
開花
植え付け、植え替え
肥料(庭植え)
種まき

ハマボウフウの栽培方法

環境・土壌

ハマボウフウの栽培は、日当たりの良い砂地が適しています。

砂質土や火山灰土など、排水性に優れた土を選びましょう。

根が長く伸びるため十分な深さの土が必要で、鉢植えは不可能です。

芽出し

種まきから発芽するまでの間は土の表面が乾燥しない程度に水を与え、日陰で管理しましょう。

10日程度で発芽するので、本葉が2〜3枚になったら地面に定植します。

定植

根を傷つけないよう丁寧に定植し、植え付けたらたっぷりと水を与えて日向で管理しましょう。

肥料

元肥として緩効性肥料を用土に混ぜ込みます。

また、生育期間中は春に緩効性肥料を与えましょう。

手入れ

過剰に水やりせず、土が乾いたタイミングで水を与えるようにしましょう。

植替え

庭植えの場合、植え替えは不要です。

ただし葉を収穫する場合は十分に育った根を掘り取って箱に伏せ込み、200mm〜300mm程度おがくずでマルチします。

おがくずの上に葉が出てくる頃に収穫すると美味しく食べることができるうえに、年に2〜3回の収穫が可能です。

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まとめ

砂浜に生息する野草「ハマボウフウ」は、セリ科特有の爽やかな香りが特徴的で食用としても親しまれています。

風邪症状や関節炎などにも効果があると言われている優れものですが、近年は乱獲などが原因で数が減少しているようです。

栽培されたものであれば流通していることもあるため、見つけたときは是非今回ご紹介した料理例を元に食べてみてください。

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