5〜6月にかけて小さく可愛らしい花を咲かせる野草、アメリカフウロ(亜米利加風露)。
猛毒をもつトリカブトと似ているため同列に語られることも。
本記事では、アメリカフウロの特徴や毒性の有無、トリカブトなどの似た花との見分け方まで解説いたします。
アメリカフウロとは?
アメリカフウロとはどんな野草なのか?
アメリカフウロの基本情報について解説いたします。
・アメリカフウロの基本情報
・アメリカフウロの名前の由来
・アメリカフウロの花言葉
アメリカフウロの基本情報
学名 | Geranium carolinianum |
英名 | Carolina cranesbill、Carolina geranium |
和名 | アメリカフウロ(亜米利加風露) |
別名・流通名 | ロシソウ(鷺嘴草) |
科名 | フウロソウ科 |
属名 | フウロソウ属 |
原産地 | 北アメリカ |
日本での主な生息地 | 全国 |
アメリカフウロの名前の由来
アメリカフウロは、アメリカ原産のフウロソウという意を込めて名付けられました。
フウロソウとは「ゼラニウム」とも呼ばれており、園芸種として人気の高い花です。
漢字では風露草と表記し、花や葉に滴る露の風に揺れる姿が美しいことが名前の由来とされています。
また、アメリカフウロは細長い果実がサギのくちばしに似ていることから「ロシソウ(鷺嘴草)」と呼ばれることもあります。
アメリカフウロの花言葉
全国各地の道端で普通に見ることができるアメリカフウロですが、ひっそりと小さく花を咲かせるためあまり多くの人の目に留まらない様子を表現している言葉のように思えます。
アメリカフウロの特徴
アメリカフウロの特徴は以下の通りです。
・アメリカフウロの自生地
・アメリカフウロの花の特徴
・アメリカフウロの葉の特徴
花が咲く季節 | 5月、6月 |
実のなる季節 | – |
生活型 | 一年草 |
生活様式 | 地生 |
草丈・樹高 | 100〜600mm |
葉の形 | 分裂葉 |
花のつき方 | 散形花序 |
花の色 | 桃 |
葉の色 | 緑 |
繁殖方法 | 種 |
日照条件 | 日向 |
水分の必要性 | 必要 |
土の必要性 | 必要 |
アメリカフウロの自生地
アメリカフウロは北アメリカを原産地としており、現在は太平洋諸島やアジア各国に広く分布しています。
日本にも帰化しており、1932年に植物学者の牧野富太郎氏により発見されました。
現在は全国の道端で普通に見ることができます。
アメリカフウロの花の特徴
アメリカフウロは、茎の先端に2〜6個程度の花を散房状につけます。
花は径20mm程度の小さな5弁花で、薄いピンク色です。
萼には毛が生えており、フワフワとした感触も特徴と言えます。
アメリカフウロの葉の特徴
やや倒れながら伸びる茎に、手のひらのように3〜5裂した葉がつきます。
裂片はそれぞれでさらに細かく分かれている他、長い葉柄も特徴的です。
花が終わって果実が熟す頃になると紅葉し、生育環境が痩せ地であるほど赤みが強くあらわれます。
アメリカフウロに毒性はある?
アメリカフウロに毒性はありませんが、食用とされた前例もないため食べることはおすすめできません。
特に根はタンニンが豊富に含まれているため、食べ過ぎると胃の粘膜が荒れる可能性があります。
ちなみに、同じフウロソウの仲間であるゲンノショウコには薬効があると有名ですが、アメリカフウロには特筆すべき薬効はありません。
アメリカフウロと似た花

ゲンノショウコ・オランダフウロ・ヒメフウロ・トリカブトは、アメリカフウロと共通点のある花です。
アメリカフウロと見分けるにはどこに注目すれば良いのか、以下より解説いたします。
・アメリカフウロとゲンノショウコの違いと見分け方
・アメリカフウロとオランダフウロの違いと見分け方
・アメリカフウロとヒメフウロの違いと見分け方
・アメリカフウロとトリカブトの違いと見分け方
<比較表>
比較 | アメリカフウロ | ゲンノショウコ | オランダフウロ | ヒメフウロ | トリカブト |
花 | ・淡いピンク色 ・5弁花 | ・白色~紅紫色 ・5弁花 | ・白色~紅紫色(紫色が濃い) ・5弁花 | ・淡い紅紫色 ・5弁花 | ・青紫色 ・兜状の花が多数 |
葉 | ・3~5裂する ・裂片が深く、細かく裂ける | ・上部のものは3裂、下部のものは5裂する ・切れ目はアメリカフウロより浅い | ・2回羽状複葉 ・悪臭がある | ・3~5裂する ・裂片が羽状に裂ける ・表面に伏せた毛がある ・悪臭がある | ・3~5裂する ・裂片に鋸歯がある |
草丈 | 100〜600mm | 300〜500mm | 100〜500mm | 200〜600mm | 800〜1800mm |
季節 | 5月、6月 | 7~10月 | 4~8月 | 5~9月 | 9月、10月 |
アメリカフウロとゲンノショウコの違いと見分け方

アメリカフウロと同じくフウロソウ属に分類されるゲンノショウコは、茎や葉に薬効があるとして有名な野草です。
分かりやすい違いとしては葉の裂け方で、茎の上部につく葉は3裂しており下部につく葉は5裂しています。
葉の切れ込みも、アメリカフウロより浅いです。
花は西日本に生息する個体は紅紫色が多く、東日本の個体は白色となる傾向にあります。
アメリカフウロとオランダフウロの違いと見分け方

自生地や草丈がほぼアメリカフウロと同じオランダフウロですが、花の紫色が濃いという特徴があります。
他にも葉が2回羽状複葉という鳥の羽を思わせる形状になっていること、葉や茎に悪臭があることも分かりやすい違いです。
アメリカフウロとヒメフウロの違いと見分け方

ヒメフウロはアメリカフウロと外見がよく似ていますが、主な自生地は石灰岩地の草原や林縁という違いがあります。
草丈はアメリカフウロよりもやや高く、茎の先端に紅紫色の5弁花を2個つけます。
全体的に悪臭があること、葉の裂片が羽状に裂けることも特徴です。
アメリカフウロとトリカブトの違いと見分け方

トリカブトは、掌状に5裂した葉の形状がアメリカフウロとよく似ています。
ただし花は青みのある紫色をしている他、兜のような形をしているためアメリカフウロとの区別は難しくありません。
日本三大有毒植物に数えられており、体内に入れば最悪の場合死に至る強い毒が全体に含まれています。
アメリカフウロが見れる場所・植物園
アメリカフウロの目撃情報や、生育情報が確認された場所は以下の通りです。
・浅川付近(東京都)
・城の鼻公園
・磐田市里山公園
・淀川河川公園
・京都府立植物園
など
アメリカフウロの目撃情報
SNS上に寄せられた、アメリカフウロの目撃情報をご紹介いたします。
アメリカフウロに関するFAQ
アメリカフウロについてよくある質問を集めてみました。
・アメリカフウロは食用ですか?
・アメリカフウロに薬効はありますか?
・アメリカフウロは紅葉しますか?
アメリカフウロは食用ですか?
アメリカフウロに毒性はありませんが、食用にされた例もないため食べることはおすすめできません。
アメリカフウロに薬効はありますか?
アメリカフウロには特に薬効はありません。
アメリカフウロは紅葉しますか?
果実が熟す頃になると紅葉します。
また、生育環境が痩せ地であるほど赤色が強く出る傾向にあります。
アメリカフウロの育て方
・アメリカフウロのガーデニング情報
・アメリカフウロの育て方カレンダー
・アメリカフウロの栽培方法
アメリカフウロのガーデニング情報
アメリカフウロは生命力が強い帰化植物なので栽培は簡単な反面、逸出に注意が必要です。
具体的な育て方について、以下より解説いたします。
栽培難易度 | 簡単 |
株間 | 200~300mm |
種まきの時期 | 2月、3月 |
アメリカフウロの育て方カレンダー
時期 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
開花 | → | → | ||||||||||
植え付け、植え替え | → | → | ||||||||||
肥料(鉢植え) | → | → | → | → | ||||||||
肥料(庭植え) | → | → | → | → | ||||||||
種まき | → | → |
アメリカフウロの栽培方法
環境・土壌
アメリカフウロは、基本的に日向で乾燥ぎみな場所を好みます。
日本国内においては夏場の湿度で弱ってしまう可能性があるため、庭植えの場合は午後から日陰になる落葉樹の下で育てることをおすすめします。
土は石灰質で水はけの良いものを好みます。
芽出し
種から育てる場合、花の後にできる鞘から採取したものを冷蔵庫で保管して2〜3月中旬頃にポットへまきましょう。
発芽までは水を切らさないように管理し、本葉が2~3枚程度出てきたら ひとつひとつの苗を分けて移植(ポット上げ)します。
定植
種から育てている場合はポットに根が回ったタイミング、苗から育てる場合は2月中旬〜3月頃に定植を行います。
庭植え・鉢植えともに、元肥として緩効性の化成肥料を土に混ぜ込んでおきましょう。
肥料
定植の際に元肥を施しておけば追肥は不要です。
手入れ
庭植えの場合、水やりは日照り続きの季節を除いて降雨に任せても問題ありません。
鉢植えの場合は土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えましょう。
植替え
2年に1度、2月中旬〜3月頃に植え替えを行います。
庭植えの場合は株が混み合っているようであれば株分けを兼ねて植え替え、鉢植えの場合はひと回り大きな鉢に植え替えましょう。
まとめ
アメリカフウロは、北アメリカを原産地とするフウロソウの仲間です。
全国の道端に自生していますが、ひっそりと小さな花を咲かせるため見落とす人も少なくありません。
多湿に注意すれば簡単に育てることができるため、ガーデニング初心者の方が最初に育てる花としてもおすすめです。
コメント