古い時代に中国から日本へ帰化した野草、「ノゲシ(野芥子)」はタンポポそっくりの花を咲かせます。
本記事では、ノゲシの生態や花・葉の特徴から花言葉やタンポポなど外見が似た花との見分け方についても解説いたします。
ノゲシとは?
ノゲシとはどんな野草なのか?
ノゲシの基本情報について解説いたします。
ノゲシの基本情報
学名 | Sonchus oleraceus |
英名 | Common sowthistle |
和名 | ノゲシ(野芥子) |
別名・流通名 | ハルノノゲシ (春野芥子) 、ケシアザミ (芥子薊)、アイノゲシ(合い野芥子) |
科名 | キク科 |
属名 | ノゲシ属 |
原産地 | ヨーロッパ |
日本での主な生息地 | 全国 |
ノゲシの名前の由来
ノゲシ(野芥子)は野に生えていること、葉がケシに似ていることからその名前で呼ばれるようになりました。
ただし外見がケシに似ているだけで、ケシ科に分類される植物ではありません。
なお、別名の「ハルノゲシ」も春頃に花を咲かせるケシに似た植物という意味を込めて付けられたものです。
ノゲシの花言葉
「悠久」とは古来より中国から日本へ渡来してきたという歴史から、「旅人」は宙を舞って旅人のように各地へ降り立つ種子の様子から付けられたものと思われます。
「見間違ってはいや」はケシやタンポポと見間違わないで、と訴えかけているかのような花言葉です。
ノゲシの特徴
ノゲシの特徴は以下の通りです。
花が咲く季節 | 4~7月 |
実のなる季節 | – |
生活型 | 越年草 |
生活様式 | 地生 |
草丈・樹高 | 500〜1000mm |
葉の形 | 単葉(不分裂葉)、分裂葉 |
花のつき方 | 散房花序または円錐花序 |
花の色 | 黄、黄白 |
葉の色 | 緑 |
繁殖方法 | 種 |
日照条件 | 日向 |
水分の必要性 | 必要 |
土の必要性 | 必要 |
ノゲシの自生地
ノゲシはヨーロッパを原産地としており、現在は日本を含む世界各国に分布しています。
日本には中国から農耕が伝来された古い時代に渡来したと言われており、現在は全国の道端などで普通に見ることができます。
有史以前に渡来してきた帰化植物、つまり「史前帰化植物」と呼ばれる植物です。
ノゲシの花の特徴
ノゲシは枝分かれした茎の先に、径20mm程度の黄色〜クリーム色の頭花をつけます。
細長い花びらのようなものが放射状に多数付いていますが、これは1つひとつが「舌状花」と呼ばれる花なのです。
舌状花がまるで1つの花のように集合しており、このつき方を「頭花」といいます。
タンポポにそっくりな形状なので、タンポポと称してノゲシの花をSNSなどに投稿する方も珍しくありません。
ノゲシの葉の特徴
ノゲシには根から伸びる「根出葉」と、茎から伸びる「茎葉」の2種類があります。
根出葉は不規則な切れ込みが入っており、全体的に鳥の羽のような形状です。
一方で茎葉は耳状に尖って突き出た基部が特徴的で、茎に互生しています。
葉や茎を切ると白い乳液が出てくることも特徴です。
ノゲシの毒性
ノゲシには毒性がなく、食べることができます。
ただし、黄色い頭花や綿毛の種子などの共通点がある「ノボロギク」と間違えないように注意しましょう。
ノボロギクにはピロリジジンアルカロイドというアルカロイドが含まれており、誤って食べると肝臓を害したり下痢・吐き気をもよおす恐れがあります。
ノゲシと似た花

ノゲシに似た花としては、「オニノゲシ」「タンポポ」「アキノノゲシ」が挙げられます。
それぞれの特徴やノゲシとの見分け方は、以下の通りです。
・ノゲシとオニノゲシの違い
・ノゲシとタンポポの違い
・ノゲシとアキノノゲシの違い
<比較表>
比較 | ノゲシ | オニノゲシ | タンポポ | アキノノゲシ |
花 | ・黄色 ・舌状花からなる頭花をつける | ・黄色 ・舌状花からなる頭花をつける | ・黄色 ・舌状花からなる頭花を1つつける | ・白~淡黄色 ・裏面は紫色 ・舌状花からなる頭花をつける |
葉 | ・根出葉と茎葉 ・根出葉に不規則な切れ込みがある ・基部は茎を抱いている | ・根出葉と茎葉 ・茎葉の縁に尖った鋸歯がある ・厚みと光沢がある ・基部は茎を抱いている | ・根出葉 ・披針形で羽状に裂ける ・苞は外側に反り返る | ・根出葉と茎葉 ・茎葉に不規則な切れ込みがある |
草丈 | 500mm〜1000mm | 1,000mm~2,000mm | 100mm〜450mm | 600mm〜2000mm |
季節 | 4~7月 | 4~7月 | 3~5月 | 8~11月 |
ノゲシとオニノゲシの違い

オニノゲシもタンポポのような黄色い舌状花からなる頭花を付けますが、草丈が1〜2mとノゲシよりも高くなる傾向にあります。
また、茎葉には刺状の鋸歯があり、触れると痛みを感じます。
全体的に大きく荒々しい印象を与え、「オニ(鬼)」が名前に付くことも納得できる外見が特徴的です。
ノゲシとタンポポの違い

タンポポは100mm〜450mm程度とノゲシよりも低い傾向にあり、黄色い舌状花からなる頭花を茎先に1つだけつけます。
葉は根から伸びる根出葉のみで、披針形かつ羽状に裂けています。
また、花を包む総苞は外側に反り返っています。
ノゲシとアキノノゲシの違い

ノゲシと名前が似ているアキノノゲシですが、その名の通り晩夏~秋頃に花を咲かせます。
花は白〜淡い黄色をした舌状花からなる頭花で、裏側は紫色を帯びています。
根出葉と茎葉があり、茎葉の方に不規則な切れ込みがあります。
ノゲシが見れる場所・植物園
ノゲシの目撃情報や、生育情報が確認された場所は以下の通りです。
・高島中央公園
・善福寺公園
・平草原公園
・桜ヶ丘公園
・半田山植物園
など
ノゲシの目撃情報
SNS上に寄せられた、ノゲシの目撃情報をご紹介いたします。
ノゲシに関するFAQ
ノゲシについてよくある質問を集めてみました。
ノゲシは食用ですか?
ノゲシには毒がないため、食用とすることも可能です。
よく洗ってから酢漬けや炒め物にしたり、煎じてお茶にしたりできます。
ノゲシにはどんな効能がありますか?
ノゲシは独特な苦味がありますが、その苦み成分は安眠効果に期待ができると言われています。
また、咽頭炎・やけど・健胃にも良いと言われており、昔から薬としても用いられています。
まとめ
春ごろから道端でタンポポのような花を見かけるようになった…と思いきや、実は外見がよく似た「ノゲシ」の可能性もあります。
並べても少し見ただけでは見分けがつきませんが、頭花の数や葉の特徴に注目すると区別することができます。
「ケシ」とはいっても毒性がなく食用にすることも可能なので、よく洗って茹でたうえで様々な料理に加えてみてください。
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