全国的に分布し、道端や畑などでよく見ることができるクワクサ(桑草)をご存じでしょうか。
鮮やかな花を咲かせるわけでもなく目立たない草と言われることもありますが、よく観察してみると特徴的な花や葉を付けています。
本記事では、クワクサの生態や特徴から名前の由来など解説いたします。
クワクサとは?
クワクサとはどんな野草なのか?
クワクサの基本情報について解説いたします。
・クワクサの基本情報
・クワクサの名前の由来
・クワクサの花言葉
クワクサの基本情報
学名 | Fatoua villosa |
英名 | Hairy crabweed |
和名 | クワクサ(桑草) |
別名・流通名 | – |
科名 | クワ科 |
属名 | クワクサ属 |
原産地 | 日本、朝鮮、中国、台湾、東南アジア |
日本での主な生息地 | 本州~沖縄 |
クワクサの名前の由来
クワクサは、樹木であるクワとよく似た葉を付けることが名前の由来と言われています。
卵形で鋸歯のある葉は確かにクワそっくりですが、大葉と間違えられることも多いようです。
クワクサの花言葉
小さな花を密集して咲かせるクワクサは他の野草よりも比較的目立たず、道端にひっそりと佇んでいる姿が想像できます。
クワクサの特徴
クワクサの特徴は以下の通りです。
花が咲く季節 | 9月、10月 |
実のなる季節 | – |
生活型 | 一年草 |
生活様式 | 地生 |
草丈・樹高 | 150〜800mm |
葉の形 | 単葉(不分裂葉) |
花のつき方 | 集散花序 |
花の色 | 緑 |
葉の色 | 緑 |
繁殖方法 | 種 |
日照条件 | 日向 |
水分の必要性 | 必要 |
土の必要性 | 必要 |
クワクサの自生地
クワクサは日本や朝鮮、中国、台湾などアジアを原産地とする野草です。
日本国内では本州〜沖縄にかけて分布しており、日当たりの良い場所を好みます。
畑や空き地、道端など身近な場所でよく自生しています。
クワクサの花の特徴
クワクサには雄花と雌花があり、混ざって葉腋から球状の集散花序に付きます。
全体的に緑色でときに紫色を帯びており、小さいため目立ちません。
雄花は花被片(花びらと萼を含む部分)が4個、雄しべが4個あります。
雄しべの糸状の部分は蕾~開花直後の時期に内側へ曲がり、後にバネのように伸びて花粉を飛ばす仕組みです。
雌花は開かない花被片が4個、花柱が1個あります。
花柱は子房の側面に付いており、糸状で花被片の隙間から外へ伸びています。
クワクサの葉の特徴
クワクサの葉は互生する単葉で、長い葉柄があります。
長さ40mm〜100mmの卵形でクワや大葉とよく似ており、縁の鋭い鋸歯と両面の毛によるざらつきが特徴的です。
クワクサと似た花

クワクサはクワだけでなく、「イラクサ」や「エノキグサ」ともよく似ています。
ここではクワクサと似た植物の見分け方を解説すると共に、それぞれの特徴について比較表でご紹介いたします。
・クワクサとクワの違い
・クワクサとイラクサの違い
・クワクサとエノキグサの違い
<比較表>
比較 | クワクサ | クワ | イラクサ | エノキグサ |
花 | ・球状の集散花序 ・淡緑色・雄花は4裂した花被片と4個の雄しべがある ・雌花は開かない花被片4個と突き出た花柱がある | ・雌雄異株 ・穂状花序 ・淡黄色で花弁はない ・雄しべ4本と、先端が2裂した花柱1本 | ・穂状花序 ・淡緑色の4弁花 ・茎の上部に雌花、下部に雄花を付ける | ・穂状花序 ・雄花は卵形の苞に付き、花柄がある ・雌花は腎臓形~心臓形の苞に付き、花柄がない |
葉 | ・互生する単葉 ・卵形 ・縁に鋭い鋸歯がある ・両面に毛がありざらついている | ・互生する単葉 ・ときに2~5裂する ・縁に大小の鋸歯がある | ・対生する単葉 ・両面に毛がある ・先端が尾状に尖る ・縁に重鋸歯になる欠刻状の鋸歯がある | ・互生する単用 ・卵形~披針形 ・縁に鋸歯がある ・3本の脈が目立つ |
実 | 3稜がある球形の痩果 | 集合果 | 扁平な痩果 | いぼ状の突起がある蒴果 |
草丈・樹高 | 150mm〜800mm | 5m以上 | 400mm〜800mm | 750mm |
その他 | 樹木 | 全体に鋭い刺毛がある | – | |
季節 | 9月、10月 | 3~4月 | 9月、10月 | 7~11月 |
クワクサとクワの違い

名前の由来となった通り葉の形状がよく似たクワですが、野草であるクワクサに対しクワは樹木であるということが最大の違いです。
また、花は穂状花序に付けること、雌花の花柱は先端が2裂しているという違いもあります。
実は集合果で赤色~黒紫色をしており、毒性はなく甘みがあるため食用にされることも多いです。
クワクサとイラクサの違い

イラクサは山地の林内や林縁の湿った場所に自生する野草で、全体に生えた鋭い刺毛が特徴です。
葉は卵形で先端が尾状に尖っており、縁は重鋸歯になる欠刻状の鋸歯があります。
花は葉腋に穂状花序を出し、上部に雌花、下部に雄花を付けます。
クワクサとエノキグサの違い

エノキグサは葉がクワクサよりも細長く、エノキの葉によく似ています。
花は葉腋から穂状花序を出し、雄花・雌花ともに花びらはありません。
雄花には花柄があるのに対し、雌花は花柄がないという違いがあることも特徴です。
クワクサが見れる場所・植物園
クワクサの目撃情報や、生育情報が確認された場所は以下の通りです。
・宇都宮総合運動公園
など
クワクサの目撃情報は多かったものの、具体的な場所名まではほとんど記されていませんでした。
それだけクワクサは身近にありふれた野草なので、ぜひ葉の形を目印に探してみてください。
クワクサの目撃情報
SNS上に寄せられた、クワクサの目撃情報をご紹介いたします。
クワクサに関するFAQ
クワクサについてよくある質問を集めてみました。
・クワクサは食べることができますか?
・クワクサの実はどんな形をしていますか?
クワクサは食べることができますか?
クワクサに毒性は確認されていませんが、食用とされた前例もないためむやみに食べることはおすすめできません。
クワクサの実はどんな形をしていますか?
クワクサの実は15mm程度と小さく、3つの角がある球状の痩果です。
まとめ
クワや大葉のような葉が特徴的なクワクサですが、食用とされた例はないためむやみに食べることはおすすめできません。
鮮やかな花はなく一見地味な印象を与えるクワクサは、よく観察してみると小さな花を球状になった穂状花序に咲かせています。
ほぼ全国的に様々な場所に自生しているので、気になる方は是非探してみてください。
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