海岸に生え、種子を海の流れに乗せて分散させる植物「ハマナタマメ」をご存知でしょうか。
福神漬けにも使われるナタマメの近縁種で、未熟な莢であれば食べることができます。
ハマナタマメの生態・外見の特徴・花言葉などの基本的な情報に加え、タカナタマメなど似た花との違いも解説いたします。
ハマナタマメとは?
ハマナタマメとはどんな野草なのか?
ハマナタマメの基本情報について解説いたします。
・ハマナタマメの基本情報
・ハマナタマメの名前の由来
・ハマナタマメの花言葉
ハマナタマメの基本情報
学名 | Canavalia lineata |
英名 | – |
和名 | ハマナタマメ |
別名・流通名 | – |
科名 | マメ科 |
属名 | ナタマメ属 |
原産地 | 日本、中国、台湾 |
日本での主な生息地 | 本州~沖縄、小笠原諸島 |
ハマナタマメの名前の由来
ナタマメの近縁種で、海岸の砂浜に生育することからハマナタマメと名前がつきました。
なお、ナタマメは鉈のような形をした身をつけることからその名前で呼ばれています。
ハマナタマメの花言葉
由来は不明ですが、種子を海流に紛れさせて分布域を広げるという生態を表しているようにも解釈することができます。
ハマナタマメの特徴
ハマナタマメの特徴は以下の通りです。
・ハマナタマメの自生地
・ハマナタマメの花の特徴
・ハマナタマメの葉の特徴
・ハマナタマメの実の特徴
花が咲く季節 | 6~8月 |
実のなる季節 | – |
生活型 | つる性草本 |
生活様式 | 地生 |
草丈・樹高 | 5m以上(長さ) |
葉の形 | 3出複葉 |
花のつき方 | 総状花序 |
花の色 | ピンク |
葉の色 | 緑 |
繁殖方法 | 種 |
日照条件 | 日向 |
水分の必要性 | 必要 |
土の必要性 | 必要 |
ハマナタマメの自生地
ハマナタマメは、日本・中国・台湾を原産地としています。
国内では太平洋側は千葉県以北まで、日本海側は山形県~四国・九州・小笠原まで分布が確認されています。
ハマナタマメの種子は海水に浮かび、海流に乗って様々な地域への分布が可能です。
なお、日本海側(島根県~山形県)で見つかるハマナタマメは海から漂着した種子の発芽による幼植物のみと言われています。
主に海岸の砂浜に生育しており、砂浜の上を這い広がりながら群落を作ることが多いです。
ハマナタマメの花の特徴
ハマナタマメの花は、マメ科植物特有の蝶形花でピンク色をしています。
ただし花の大きさは3cmと大きく、花柄が花の重さに耐えきれず垂れ下がっています。
そのため、他のマメ科植物がつける蝶形花とは上下逆さまの状態で咲いていることが特徴です。
花期は6~8月ごろで、葉腋から出る総状花序には1つあたり十数個の花がつきます。
ハマナタマメの葉の特徴
ハマナタマメの葉は、5m以上にまで伸びるつる性の茎に3出複葉の葉をもちます。
小葉は黄緑色を帯びており、長さ5~12cm・幅4~10cmの円形~広卵形です。
やや革質で先端は尖るか丸まっており、表面に光沢があります。
ハマナタマメの実の特徴
ハマナタマメの実は長さ5~10cm・幅3~3.5cmの大きな豆果で、中に2~5個の種子が入っています。
種子は長さ1.5cmほどの楕円形で長いへそがあり、海水に浮かんで運ばれます。
ハマナタマメと似た花

ハマナタマメは、ハマアズキ・タカナタマメ・シオガマギクと外見が似ています。
それぞれの見分け方を解説するとともに、それぞれがもつ特徴を比較表でご紹介いたします。
・ハマナタマメとハマアズキの違い
・ハマナタマメとタカナタマメの違い
・ハマナタマメとシオガマギクの違い
<比較表>
比較 | ハマナタマメ | ハマアズキ | タカナタマメ | シオガマギク |
花 | ・3cmで上下が逆さになった蝶形花 ・ピンク色 | ・1.5~1.8cmの蝶形花 ・黄色 | ・4~5cmで上下が逆さになった蝶形花 ・ピンク色 | ・2cm程度の唇形花 ・紅紫色 |
葉 | ・3出複葉 ・長さ5~12cm、幅4~10cmの円形~広卵形 ・やや革質 ・光沢がある ・全縁 | ・3出複葉 ・長さ3~6cmの卵形~広卵形 ・やや革質 ・光沢がある ・全縁 | ・3出複葉 ・長さ8~15cmの卵形~卵円形 ・やや薄い ・全縁 | ・単葉 ・長さ4~9cm、幅1~2cmの狭卵形 ・縁に鋸歯がある |
果実 | ・長楕円形の豆果 ・種子は2~5個 | ・アズキに似た線状長楕円形の豆果 ・種子は4~5個 | ・長楕円形の豆果 ・種子は4~5個 | ・蒴果 ・多数の種子がある |
生息地 | 海岸の砂地 | 海岸の砂地 | 海岸の荒地や林縁 | 山地 |
季節 | 6~8月 | 4~11月 | 3~6月 | 8月、9月 |
ハマナタマメとハマアズキの違い

ハマアズキは、グンバイヒルガオに混じって海岸の砂地に生育することが多いササゲ属の植物です。
花は1.5~1.8cm程度の蝶形花で、鮮やかな黄色をしているため区別は難しくありません。
果実はアズキに似て線状長楕円形をしており、中には4~5個の種子が入っています。
ハマナタマメとタカナタマメの違い

タカナタマメは、海岸近くの低地や林縁に自生するナタマメ属の1つです。
砂浜で生育するハマナタマメに対し、タカナタマメは内陸に近い樹木に這い上がっている場合が多いです。
花や葉の特徴はよく似ていますが、葉はタカナタマメの方がやや薄いです。
ハマナタマメとシオガマギクの違い

シオガマギクは、山地で生育するハマウツボ科の半寄生植物です。
茎は直立しており、紅紫色の唇形花を咲かせます。
葉は狭卵形の単葉で、縁に規則的な鋸歯があります。
ハマナタマメが見れる場所・植物園
ハマナタマメの目撃情報や、生育情報が確認された場所は以下の通りです。
・錆が浜海岸
・日向サンパーク周辺
・御浜岬
・坪田海岸
・阿蘇くじゅう国立公園
など
ハマナタマメの目撃情報
SNS上に寄せられた、ハマナタマメの目撃情報をご紹介いたします。
ハマナタマメに関するFAQ
ハマナタマメについてよくある質問を集めてみました。
・ハマナタマメは崖や岩場にも生える植物ですか?
・ハマナタマメはどこの海岸で見られますか?
ハマナタマメは崖や岩場にも生える植物ですか?
ハマナタマメは、海岸の砂浜に生えます。
ハマナタマメはどこの海岸で見られますか?
日本では太平洋側だと千葉県以北、日本海側だと山形県以北山形県~四国・九州・小笠原の海岸で見ることができます。
まとめ
ハマナタマメは、海岸の砂浜につるを伸ばして自生するマメ科植物です。
マメ科植物特有の蝶形花を咲かせますが、花柄が重みに耐えきれず曲がってしまうため上下が逆さまになっているというユニークな特徴があります。
同じく砂地で生育するタカナタマメやハマアズキと似ていますが、花の色や葉の質感、実の形状などで区別が可能です。
砂浜で可愛らしいピンク色の花を咲かせる野草を見つけたら、ぜひ観察してみてください。
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