ツタバウンラン(蔦葉海蘭)は、紫色の花と可愛らしい形の葉が特徴的です。
とても生命力の強い野草で、石崖や空き地などで見かけることができます。
また、ガーデニングのグランドカバーに適していることもあり、園芸愛好家の間では人気があります。
本記事では、ツタバウンランの特徴や花言葉からよく似た花について解説いたします。
記事後半では、ツタバウンランの育て方もご紹介していますので、是非最後までご覧ください。
ツタバウンランとは?
ツタバウンランとはどんな野草なのか?
ツタバウンランの基本情報について解説いたします。
・ツタバウンランの基本情報
・ツタバウンランの名前の由来
・ツタバウンランの花言葉
ツタバウンランの基本情報
学名 | Cymbalaria muralis |
英名 | Ivy-leaved toadflax, Kenilworth ivy |
和名 | ツタバウンラン(蔦葉海蘭) |
別名・流通名 | ツタガラクサ(蔦唐草)、ウンランカズラ(海蘭葛)、キンバラリア 、コリセウムアイビー |
科名 | オオバコ科 |
属名 | ツタバウンラン属 |
原産地 | ヨーロッパ |
日本での主な生息地 | 北海道、本州 |
ツタバウンランの名前の由来
ツタバウンランという名前は、「ウンラン(海蘭)」に似た花と「ツタ(蔦)」に似た葉から名付けられました。
なお、ウンラン(海蘭)は海辺に自生しており、花がラン(蘭)に似ていることから「海の蘭」という意味が込められています。
ツタバウンランの花言葉
由来は諸説ありますが、小さく儚げな花姿と、茎が活発に成長する様子にちなんで付けられたという説が有力とされています。
どこまでも伸びていこうとする茎と共に、手の届かない場所にまで花を咲かせようとする様子が表現された花言葉です。
ツタバウンランの特徴
ツタバウンランの特徴は以下の通りです。
・ツタバウンランの自生地
・ツタバウンランの花の特徴
・ツタバウンランの葉の特徴
花が咲く季節 | 3~11月 |
実のなる季節 | – |
生活型 | 多年草 |
生活様式 | 地生 |
草丈・樹高 | 100~400mm(長さ) |
葉の形 | 分裂葉 |
花のつき方 | 単生 |
花の色 | 紫、白 |
葉の色 | 緑 |
繁殖方法 | 種 |
日照条件 | 日向、半日陰 |
水分の必要性 | 必要 |
土の必要性 | 必要 |
ツタバウンランの自生地
ツタバウンランはヨーロッパ原産の帰化植物で、日本国内には鑑賞用として大正時代に渡来しました。
ロックガーデンなどに用いられていましたが逸出し、現在では北海道から本州にまで分布しています。
環境を選ばず育つ強い生命力を持ち、道端や住宅地の石垣などに生えていることが多いです。
ツタバウンランの花の特徴
ツタバウンランの花は基本的に春から夏にかけて開花しますが、生育環境によっては秋にも花を咲かせることがあります。
唇形をしており、上唇は直立している一方で下唇は膨らみがあり黄色い斑模様も付いています。
全体的な色は薄紫色ですが、個体によっては青みがかっていることもあります。
ツタバウンランの葉の特徴
ツタバウンランの葉は互生しており、円形〜扁円形で掌状に浅く5〜7裂しています。
長い葉柄をもつ他、光沢のある表面も特徴的です。
匍匐茎なので、地や石垣を這うようにして葉が密集しています。
ツタバウンランに似た花

ツタバウンランによく似ている花としては、「マツバウンラン」や「ムラサキサギゴケ」を挙げることができます。
それらが持つツタバウンランと異なる特徴について、下記より解説いたします。
・ツタバウンランとマツバウンランの違い
・ツタバウンランとムラサキサギゴケの違い
<比較表>
比較 | ツタバウンラン | マツバウンラン | ムラサキサギゴケ |
花 | ・紫色 ・唇形花 ・上唇は2裂して直立 ・下唇は喉部に2つの黄色い斑 | ・紫色 ・唇形花 ・上唇は浅く2裂 ・下唇は3裂 ・中央部は白い | ・紫色 ・唇形花 ・上唇は浅く2裂 ・下唇は3裂 ・中央部に赤みがかった黄色の斑がある |
葉 | ・互生 ・円形~腎形 ・浅く5~7裂する ・表面に光沢がある | ・互生 ・線形 | ・互生、対生 ・倒卵形 ・縁に不揃いの鋸歯がある |
茎 | ・匍匐茎 ・紫色を帯びている | ・直立する | ・匍匐茎 ・緑色 |
季節 | 3~11月 | 4月、5月 | 4月、5月 |
ツタバウンランとマツバウンランの違い

花の形がよく似ているマツバウンランは、オオバコ科マツバウンラン属の植物です。
紫色の唇形花で、花だけを見るとツタバウンランと間違えてしまいそうですが、匍匐茎ではないため茎や葉の様子を見ればすぐに区別ができます。
ツタバウンランとムラサキサギゴケの違い

サギゴケ科サギゴケ属に分類されるムラサキサギゴケは、匍匐茎かつ紫色をした唇形花を咲かせる植物です。
下唇にある黄色の斑模様もあり、ツタバウンランとの共通点は多く見受けられます。
ただしムラサキサギゴケは倒卵形〜円形の葉を持つため、葉を見ればすぐに区別が可能です。
また、湿った場所を好むという点もツタバウンランとの違いです。
ツタバウンランはグランドカバーに最適

ツタバウンランは地を這うようにして茎を伸ばして花を咲かせるため、お庭のグランドカバーとして人気です。
石垣やレンガの隙間などからこぼれるようにツタを伸ばす様子は、ナチュラルガーデンによく合います。
また、玄関アプローチのちょっとした隙間に緑が欲しいとき、雑草が生えないようにしたいときに活用してもよいでしょう。
基本的に場所を選ばず育ちますが、踏みつけには弱いため注意が必要です。
ツタバウンランが見れる場所・植物園
ツタバウンランの目撃情報や、生育情報が確認された場所は以下の通りです。
・木場公園
・鎌倉彫白日堂近辺
・茅ヶ崎市緑が浜
・日光植物園
・与野中央公園近辺
など
特定の施設のみならず、ツタバウンランは住宅地の石垣や道端に自生していることも珍しくありません。
春から秋にかけての開花時期は、日当たりが良い場所を中心として散歩のついでに探してみても良いでしょう。
ツタバウンランの目撃情報
SNS上に寄せられた、ツタバウンランの目撃情報をご紹介いたします。
ツタバウンランに関するFAQ
ツタバウンランについてよくある質問を集めてみました。
・ツタバウンランは食べることができますか?
・ツタバウンランの種はどこで買えますか?
・ツタバウンランの増やし方を教えてください
ツタバウンランは食べることができますか?
ツタバウンランは食べることができる他、漢方としても用いられています。
茎や葉にはポリフェノールが豊富に含まれており、肝機能向上や美容の効果に期待できると言われています。
ツタバウンランの種はどこで買えますか?
ツタバウンランの種はECサイトなどで販売されていることがあります。
なお、本記事の執筆時点(2022年3月)では販売が確認できたサイトはありませんでした。
ツタバウンランの増やし方を教えてください
ツタバウンランは開花後にこぼれ種の他、さし芽や株分けで簡単に増えていきます。
ツタバウンランの育て方
・ツタバウンランのガーデニング情報
・ツタバウンランの育て方カレンダー
・ツタバウンランの栽培方法
ツタバウンランのガーデニング情報
ツタバウンランは土質や環境にこだわらずとも育ち、手入れもほとんど不要な植物なのでガーデニング初心者にもおすすめです。
庭に植えてグランドカバーとして利用するだけでなく、鉢に植えてこぼれるように枝垂れる姿を鑑賞しても良いでしょう。
栽培難易度 | 簡単 |
株間 | 300mm~450mm |
種まきの時期 | 3月~5月、9月~10月 |
発芽温度 | 約20℃ |
生育温度 | – |
耐寒温度 | – |
耐暑温度 | -15℃まで |
ツタバウンランの育て方カレンダー
時期 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
開花 | → | → | → | → | → | → | → | → | → | |||
植え付け、植え替え | → | → | → | → | → | |||||||
種まき | → | → | → | → | → |
ツタバウンランの栽培方法
環境・土壌
ツタバウンランは日向・日陰問わず育ちますが、直射日光が3〜5時間当たる半日陰〜明るい日陰を選ぶとより育ちやすくなります。
土も特にこだわらずとも問題ありませんが、通気性と排水性のバランスが良い培養土がおすすめです。
ツタバウンランは寒さに強い反面、夏場の強い直射日光や蒸れに弱いため注意しましょう。
芽出し
ツタバウンランの種は光がないと発芽しないため、種まきは覆土せずに行いましょう。
定植
定植は3月〜5月または9月〜10月で、真夏や真冬を避けて行います。
肥料
基本的に肥料は不要ですが、鉢植えの場合は秋~春の開花時期までに緩効性肥料を少量与えても良いでしょう。
手入れ
水やりについては、庭植えの場合は降雨に任せて問題ありません。
鉢植えの場合は土の表面が乾いたら水を与えます。
また、ツタが伸びすぎたらカットして整えましょう。
カットしたツタを清潔な用土に植えれば、増やすこともできます。
植替え
植え替えは基本的に不要です。
まとめ
ツタバウンランは住宅街の石垣や道端など様々な場所に自生しており、ガーデニングのグランドカバーとして人気が高い帰化植物です。
庭に植えれば、グランドカバーとしてナチュラルな雰囲気をプラスしてくれます。
夏の暑さや蒸れに気を付ければ基本的にどこでも育てることができるため、ガーデニング初心者にもおすすめです。
環境が整っていれば、春から秋まで長期間にわたり花を楽しむことができます。
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