白や青紫など爽やかな色をした花が美しい、キクザキイチゲ(菊咲一華)をご存知でしょうか。
本記事では、キクザキイチゲの花や葉の特徴から似た花との違いについても詳しく解説いたします。
記事後半では、キクザキイチゲの育て方も紹介していますので、ご覧ください。
キクザキイチゲとは?
キクザキイチゲとはどんな野草なのか?
キクザキイチゲの基本情報について解説いたします。
・キクザキイチゲの基本情報
・キクザキイチゲの名前の由来
・キクザキイチゲの花言葉
キクザキイチゲの基本情報
学名 | Anemone pseudoaltaica var. pseudoaltaica |
英名 | – |
和名 | キクザキイチゲ(菊咲一華) |
別名・流通名 | クザキイチリンソウ (菊咲一輪草) 、シロバナキクザキイチゲ (白花菊咲一華) 、ハナガサイチゲ (花笠一華) 、ヤエノキクザキイチゲ (八重菊咲一輪草) 、ピップイチゲ、クルマザキキクザキイチゲ |
科名 | キンポウゲ科 |
属名 | イチリンソウ属 |
原産地 | 日本、朝鮮 |
日本での主な生息地 | 北海道、本州(兵庫県以北) |
キクザキイチゲの名前の由来
キクザキイチゲという名前は、花の姿が由来と言われています。
楕円形の萼片を広げたキクのような花を、茎の先に一輪だけ咲かせるため「キクザキイチゲ(菊咲一華)」と名付けられました。
他にも様々な呼び名がありますが、いずれにしても花の姿にちなんだ名前であると思われます。
キクザキイチゲの花言葉
開花時期が終わると儚く消えてしまう、キクザキイチゲの姿を偲ぶかのような言葉が付けられています。
キクザキイチゲの特徴
キクザキイチゲの特徴は以下の通りです。
・キクザキイチゲの自生地
・キクザキイチゲの花の特徴
・キクザキイチゲの葉の特徴
花が咲く季節 | 3~5月 |
実のなる季節 | – |
生活型 | 多年草 |
生活様式 | 地生 |
草丈・樹高 | 100〜300mm |
葉の形 | 3出複葉 |
花のつき方 | 単生 |
花の色 | 青、紫、白 |
葉の色 | 緑 |
繁殖方法 | 種、株分け |
日照条件 | 日向、半日陰 |
水分の必要性 | 必要 |
土の必要性 | 必要 |
キクザキイチゲの自生地
キクザキイチゲは日本または朝鮮半島を原産地とする野草です。
日本国内では北海道や本州の兵庫県以北に分布しており、落葉広葉樹林の林床などに自生しています。
キクザキイチゲの花の特徴
キクザキイチゲは春先に開花し、シーズンが過ぎると翌年の春まで休眠状態となり地下茎で過ごす「スプリング・エフェメラル(春植物)」です。
花は白~青紫色をしており、花びらのように見える楕円形の萼片を8〜13枚付けます。
名前の由来にもある通り、一輪しか花を咲かせません。
雄しべ・雌しべともに多数あり、葯は白色です。
キクザキイチゲの葉の特徴
キクザキイチゲの葉は、根出葉と茎葉の2種類です。
根出葉は2回3出複葉で、ひし形~卵形をしており深く3裂します。
スプリング・エフェメラルなので、根出葉は秋に出て翌年の初夏には地上部が枯れてしまいます。
茎葉は3全裂しており、小葉は3裂または羽状に裂けています。
キクザキイチゲと似た花

「アズマイチゲ」をはじめ、キクザキイチゲとよく似た花は複数存在します。
ここでは似ている花の種類と見分け方を解説するだけでなく、それぞれの特徴を比較表とにまとめてみました。
・キクザキイチゲとアズマイチゲの違い
・キクザキイチゲとユキワリイチゲの違い
・キクザキイチゲとイチリンソウの違い
<比較表>
比較 | キクザキイチゲ | アズマイチゲ | ユキワリイチゲ | イチリンソウ |
花 | ・白色の萼片を8〜13枚付ける ・葯は白色 | ・白色の萼片を8〜13枚付ける ・葯は白色 | ・淡紫を帯びた白い萼片を12〜22枚付ける ・葯は黄色 | ・丸みがある白色の萼片を5〜6枚付ける ・萼片の裏側はやや紅色を帯びている ・葯は黄色 |
葉 | 葉の切れ込みが深い | 葉の切れ込みが浅い | 裏面は紫色を帯びている | 根出葉は羽状に深く裂けており、裂片は欠刻状 |
茎 | 短い軟毛がある | 無毛 | 赤紫色 | 赤紫色 |
季節 | 3~5月 | 3~5月 | 2~4月 | 4月~5月 |
キクザキイチゲとアズマイチゲの違い

アズマイチゲが咲かせる花はキクザキイチゲとよく似ていますが、アズマイチゲの花は白色しかありません。
また、花の下にある茎に毛が生えていればキクザキイチゲ、なければアズマイチゲと判断することができます。
葉の切れ込みは、アズマイチゲの方が浅いです。
キクザキイチゲとユキワリイチゲの違い

北海道〜兵庫県以北に自生するキクザキイチゲに対し、ユキワリイチゲは本州西部〜九州と比較的暖かい地域に自生する種です。
花は淡い紫色を帯びた白色の萼片を12〜22枚付け、葯は黄色です。
葉は3全裂しており、裏面は紫色を帯びていることは大きな特徴と言えます。
キクザキイチゲとイチリンソウの違い

イチリンソウは生育環境や葉の形状などが似ていますが、花の姿で見分けることができます。
イチリンソウの花は、キクザキイチゲよりも丸みを帯びた白色の萼片5〜6枚から成り、萼片の外側はやや紅色を帯びていることが特徴です。
キクザキイチゲが見れる場所・植物園
キクザキイチゲの目撃情報や、生育情報が確認された場所は以下の通りです。
・六甲高山植物園
・弥彦山付近
・行田公園
・戸隠高原
・姫川源流自然探勝園
など
キクザキイチゲの目撃情報
SNS上に寄せられた、キクザキイチゲの目撃情報をご紹介いたします。
キクザキイチゲに関するFAQ
キクザキイチゲについてよくある質問を集めてみました。
・キクザキイチゲの花の色は紫ですか?
・キクザキイチゲの和名は?
キクザキイチゲの花の色は紫ですか?
紫色も多いですが、中には白色の花を咲かせる個体もあります。
キクザキイチゲの和名は?
「キクザキイチゲ」が和名であり、漢字では「菊咲一華」と表記します。
キクザキイチゲの育て方
・キクザキイチゲのガーデニング情報
・キクザキイチゲの育て方カレンダー
・キクザキイチゲの栽培方法
キクザキイチゲのガーデニング情報
キクザキイチゲは、花の美しさから園芸植物としても人気が高い野草です。
開花期と休眠期では管理の方法が異なるため、注意しましょう。
栽培難易度 | やや難しい |
株間 | – |
種まきの時期 | 9月、10月 |
発芽温度 | – |
生育温度 | – |
耐寒温度 | 30℃ |
耐暑温度 | -15℃ |
キクザキイチゲの育て方カレンダー
時期 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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開花 | → | → | → | |||||||||
植え付け、植え替え | → | → | ||||||||||
肥料(鉢植え) | → | → | ||||||||||
肥料(庭植え) | → | → | ||||||||||
種まき | → | → |
キクザキイチゲの栽培方法
環境・土壌
キクザキイチゲは日向~半日陰で、風通しの良い場所を好みます。
高温や乾燥には弱いので、株元に直射日光が当たらないよう注意しましょう。
土は水はけが良くやや湿気のある肥沃な土壌が適しています。
落葉樹の下など半日陰の木漏れ日が差すような場所で、腐葉土をたっぷりと混ぜた赤玉土や鹿沼土を使って育てると良いでしょう。
芽出し
種から育てる場合、発芽は翌年の春になります。
定植
植え付けの際は、庭植え・鉢植え共に緩効性肥料を加えましょう。
肥料
肥料は花後~葉が枯れるまでの期間と、11月に与えます。
頻度としては7〜10日に1度で、2,000倍に薄めたごく薄い液体肥料を与えましょう。
手入れ
生育期の場合、土の表面が乾いた時点で水を与えます。
休眠中は過湿状態になると腐りやすいため、やや乾燥気味に管理することを意識しましょう。
植替え
植え替えの適期は9月上旬〜10月中旬ですが、できるだけ9月中に済ませることをおすすめします。
ただし頻繁に植え替えると花が咲かなくなってしまうため、2〜3年に1度の頻度に留めましょう。
まとめ
キクザキイチゲは、キクのような花を1輪だけ咲かせる姿から名前が付いた野草です。
イチリンソウやアズマイチゲなどと同じく、春の開花期を過ぎると翌春まで姿を見せなくなる「スプリング・エフェメラル」でもあります。
白や青紫の美しい花に魅了される人は多く、園芸植物としても人気です。
自分で育てる場合、生育期と休眠期で異なる管理方法に注意しましょう。
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