直立した茎につく、くるくると反り返った花が特徴的なクサボタン。
ボタンの花に似ているとは思えない外見ですが、なぜクサボタンと呼ばれるようになったのでしょうか。
今回はクサボタンの生態や花・葉の特徴について詳しく解説する他、名前の由来や花言葉、育て方についてもご紹介いたします。
クサボタンとは?
クサボタンとはどんな野草なのか?
クサボタンの基本情報について解説いたします。
・クサボタンの基本情報
・クサボタンの名前の由来
・クサボタンの花言葉
クサボタンの基本情報
学名 | Clematis stans var. stans |
英名 | – |
和名 | クサボタン(草牡丹) |
別名・流通名 | – |
科名 | キンポウゲ科 |
属名 | センニンソウ属 |
原産地 | 日本 |
日本での主な生息地 | 北海道西南部、本州 |
クサボタンの名前の由来
クサボタンは、葉の形がボタン(牡丹)の葉に似ていることからその名前がつきました。
浅く3裂したクサボタンの葉は、ボタンの葉を思わせる形状をしています。
クサボタンの花言葉
ひとつひとつが下を向いたクサボタンの花は、大切な人への思いを募らせる姿にも、頭を下げて感謝を表しているようにも思えます。
クサボタンの特徴
クサボタンの特徴は以下の通りです。
・クサボタンの自生地
・クサボタンの花の特徴
・クサボタンの葉の特徴
花が咲く季節 | 8月、9月 |
実のなる季節 | – |
生活型 | 低木 |
生活様式 | 地生 |
草丈・樹高 | 500〜1000mm |
葉の形 | 1回3出複葉 |
花のつき方 | 複集散花序 |
花の色 | 青、紫 |
葉の色 | 緑 |
繁殖方法 | 挿木 |
日照条件 | 日向、半日陰 |
水分の必要性 | 必要 |
土の必要性 | 必要 |
クサボタンの自生地
クサボタンは国内にしか自生しない日本固有種で、北海道北西部と本州全体に分布しています。
山地の草原や林縁など、日向~半日陰の明るい場所に自生していることが多いです。
クサボタンの花の特徴
クサボタンは8~9月になると、茎の先端や葉腋から集散状の花序を複数出します。
淡い紫色の花を多数つけており、円錐状になることが多いです。
4枚の花弁に見える部分は萼片で、外側へ反り返った姿が特徴的です。
萼片の外面には、白い短毛が密に生えています。
花が終わると花柱が最大2cmにも伸び、一変して羽毛のような姿になります。
クサボタンの葉の特徴
クサボタンの葉は対生しており、3つの小葉が1組みになっている「3出複葉」です。
小葉は長さ・幅ともに4~10cm程度の広卵形で、ボタンの葉のように浅く3裂しています。
先端は鋭く尖っており、縁に不揃いで粗い鋸歯があります。
葉の表面は光沢がなく、葉脈がへこんでいることも特徴です。
クサボタンと似た花

クサボタンに似た花は複数存在します。
ここでは、クサボタンに似た花の種類と見分け方についてご紹介いたします。
・クサボタンとツクシクサボタンの違い
・クサボタンとレイジンソウの違い
・クサボタンとツリガネニンジンの違い
・クサボタンとソバナの違い
<比較表>
比較 | クサボタン | ツクシクサボタン | レイジンソウ | ツリガネニンジン | ソバナ |
花 | ・複集散状花序 ・淡紫色の萼片 ・鐘状で萼片が反り返る ・花糸と葯の長さはほぼ同じ | ・複集散状花序 ・淡紫色の萼片 ・鐘状で萼片が反り返る ・花糸よりも葯が長い | ・総状花序 ・淡紫色の萼片 ・烏帽子のような花をつける | ・円錐状花序 ・淡い紫色の花弁(花冠) ・反り返らない | ・総状花序~円錐花序 ・青紫色の花弁(花冠) ・反り返らない ・2~4cmと大きい |
葉 | ・1回3出複葉 ・小葉は広卵形 ・縁に不揃いな鋸歯がある | ・1回3出複葉 ・小葉は卵形 ・縁に不揃いな鋸歯がある | ・単葉 ・5~7裂した掌状 | ・3~5枚輪生する単葉 ・線形、楕円形など | ・互生する単葉 ・卵形 |
草丈 | 500〜1000mm | 500〜1000mm | 300〜1000mm | 200〜1000mm | 500〜1000mm |
自生地 | 山地の林縁や草地 | 石灰岩地 | 明るい林縁や草原 | 山地の草原、林縁、河川堤防 | 山地のブナ林内 |
季節 | 8月、9月 | 8月、9月 | 8~10月 | 7~11月 | 7~9月 |
クサボタンとツクシクサボタンの違い
ツクシクサボタンは、四国~九州の石灰岩地に自生しています。
クサボタンの葯(雄しべの花粉嚢)と花糸(雄しべの糸状の部分)はほぼ同じ長さですが、ツクシクサボタンの葯は花糸よりも長いです。
クサボタンとレイジンソウの違い

レイジンソウは、明るい林縁や草原に自生するトリカブト属の花です。
淡い紫色で垂れ下がった花はよく似ていますが、葉は5~7裂した掌状で3出複葉ではないため、その形状を見れば区別は難しくありません。
クサボタンとツリガネニンジンの違い

ツリガネニンジンは山地の草原や林縁、河川堤防に自生するキキョウ科の花です。
クサボタンのように淡い紫色をした釣鐘形の花を円錐状に出しますが、ツリガネニンジンは花弁をもちます。
葉は茎に3~5枚輪生しており、線形から楕円形まで変化があります。
クサボタンとソバナの違い

ソバナは、山地のブナ林内など湿った場所に生えるツリガネニンジンの近縁種です。
茎先に総状花序~円錐花序を出し、青紫色をした釣鐘形の花をつけます。
クサボタンよりも花のつき方がまばらで、2~4cmと大きいことが特徴です。
葉は互生する単葉で卵形をしており、縁に鋸歯があります。
クサボタンが見れる場所・植物園
クサボタンの目撃情報や、生育情報が確認された場所は以下の通りです。
クサボタンの目撃情報
SNS上に寄せられた、クサボタンの目撃情報をご紹介いたします。
クサボタンに関するFAQ
クサボタンについてよくある質問を集めてみました。
・クサボタンは上高地のどの辺りにありますか?
・クサボタンとボタンクサギは同じものですか?
・クサボタンに毒性はありますか?
クサボタンは上高地のどの辺りにありますか?
上高地では、河童橋付近でクサボタンの目撃情報が寄せられています。
クサボタンとボタンクサギは同じものですか?
ボタンクサギはクマツヅラ科の落葉低木で、クサボタンとは別物です。
クサボタンに毒性はありますか?
クサボタンは全草に毒があります。
クサボタンの育て方
・クサボタンのガーデニング情報
・クサボタンの育て方カレンダー
・クサボタンの栽培方法
クサボタンのガーデニング情報
クサボタンは毒性がありますが、その見た目は美しく鉢植えやボーダーガーデンの彩りとして楽しむことができます。
耐寒性・耐暑性に優れており、日本の気候によく合います。
栽培難易度 | ★★★ |
株間 | – |
種まきの時期 | – |
発芽温度 | – |
生育温度 | – |
耐寒温度 | – |
耐暑温度 | – |
クサボタンの育て方カレンダー
時期 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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開花 | → | → | ||||||||||
植え付け、植え替え | → | → | → | → | ||||||||
肥料(鉢植え) | → | → | → | → | → | → | ||||||
肥料(庭植え) | → | → | → | → | → | → |
クサボタンの栽培方法
環境・土壌
クサボタンは日当たり・水はけ・風通しの良い場所を好みます。
ただし乾燥を嫌うため、株元に強い西日が当たる場所や乾燥する場所での管理は避けましょう。
土は肥沃でふかふかとしたものが適しているため、腐葉土を混ぜ込みます。
肥料
生育期の3〜6月頃は2週間に1回程度の頻度で、約500倍に薄めた液体肥料を与えます。
9月中旬〜10月下旬頃は、骨粉を施しましょう。
手入れ
水やりは庭植えの場合は不要ですが、土が乾燥している場合は水をたっぷりと与えましょう。
鉢植えの場合は、土の表面が乾くたびに水やりを行います。
剪定を行うと花が咲かなくなる場合があるため、剪定は避けるか軽く枝先を整える程度に留めましょう。
まとめ
ボタンの葉と似たそれをもつクサボタンは、外側に反り返った可愛らしい花が特徴的な野草です。
ただしキンポウゲ科植物らしく全草に毒があるため、誤って食べないよう注意が必要です。
観賞するだけであれば特に害はなく、鉢植えや庭の彩りとして栽培を楽しんでも良いでしょう。
クサボタンの苗は園芸ショップや通販サイトなどで販売されていることがあるため、興味がある方はぜひ育ててみてください。
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