オニドコロ(鬼野老)は山野に自生しているヤマイモ科の植物で、根は食用にされることもあります。
ただし、根には毒性があるため適切な処理をしなければ危険です。
今回はオニドコロの生態や特徴、自然薯やヒメドコロとの見分け方など詳しく解説いたします。
食べ方についても記載していますので、ぜひ参考にしてみてください。
オニドコロとは?
オニドコロとはどんな野草なのか?
オニドコロの基本情報について解説いたします。
・オニドコロの基本情報
・オニドコロの名前の由来
・オニドコロの花言葉
オニドコロの基本情報
学名 | Dioscorea tokoro |
英名 | – |
和名 | トコロ (野老) |
別名・流通名 | オニドコロ (鬼野老) |
科名 | ヤマノイモ科 |
属名 | ヤマノイモ属 |
原産地 | 日本、中国、朝鮮半島 |
日本での主な生息地 | 北海道~九州九州 |
オニドコロの名前の由来
オニドコロという名前の由来は諸説ありますが、有名な説は以下の通りです。
- 由来の説①
-
根に凝塊ができるため「凝(とこ)り」と呼ばれ、転訛して「トコロ」となった。さらに大きな葉を付けることから、「大きい」という意味の「鬼(オニ)」を加えてオニドコロとした。
- 由来の説②
-
インドネシア語で芋の根茎を意味する「トンコロ」が「トコロ」に変化し、大きな葉をつけるため「鬼(オニ)」を加えてオニドコロになった。
- 由来の説③
-
ひげ根がある曲がった根茎をヒゲの生えた老人に例え、野に生えることから「野老」と表記した。
オニドコロの花言葉
雄花を多数付けるオニドコロの姿は、小さな子どもをたくさん抱えているように見えることから付けられたと解釈できます。
オニドコロの特徴
オニドコロの特徴は以下の通りです。
・オニドコロの自生地
・オニドコロの花の特徴
・オニドコロの葉の特徴
・オニドコロの根の特徴
花が咲く季節 | 7月、8月 |
実のなる季節 | – |
生活型 | つる性草本 |
生活様式 | 地生 |
草丈・樹高 | – |
葉の形 | 単葉(不分裂葉) |
花のつき方 | – |
花の色 | 緑 |
葉の色 | 緑 |
繁殖方法 | 種 |
日照条件 | 日向 |
水分の必要性 | 必要 |
土の必要性 | 必要 |
オニドコロの自生地
オニドコロの原産地は日本ですが、中国や朝鮮半島にも分布しています。
日本国内における自生地は北海道から九州まで幅広く、山野ややぶなどの日当たりの良い場所で見ることができます。
オニドコロの花の特徴
オニドコロは「雌雄異株」で、雄花と雌花がそれぞれ別の花茎に付きます。
どちらも黄緑色をしており、花被片は6個あります。
雄花は葉の横から飛び出すように付き、雌花よりも数が多いです。
一方で、雌花は下へ垂れさがるような花序となっています。
オニドコロの葉の特徴
オニドコロの葉は長さ・幅ともに50〜120mm程度で、先端が尖ったハート形をしています。
長さ30〜70mmの葉柄があり、互生します。
オニドコロの根の特徴
ゴツゴツと厚く発達した根茎や地下茎が、オニドコロの大きな特徴です。
山芋よりも細く凹凸があり、食用にもできます。
ただし生で食べると嘔吐や胃腸炎などの中毒症状が現れるため、適切な下処理が必要です。
オニドコロと自然薯(ヤマノイモ)の見分け方

「ヤマノイモ」や「ヤマイモ」とも呼ばれる自然薯は、オニドコロとよく似ているため初心者が誤って採取する場合も多いようです。
明確な違いとして、オニドコロの葉は互生であるのに対し自然薯は対生です。
また、自然薯には「ムカゴ」という栄養繁殖器官が付きます。
他にも自然薯の葉はオニドコロよりも細長く、光に透かすと横に走る葉脈がはっきりと見えるという違いがあるためよく観察しましょう。
オニドコロと似た花

オニドコロは自然薯の他、「ヒメドコロ」ともよく似ています。
特徴の違いは、以下の通りです。
<比較表>
比較 | オニドコロ | 自然薯 | ヒメドコロ |
花 | ・黄緑色 ・雌の花序のみ垂れさがる | ・白色 ・雌の花序のみ垂れさがる | ・黄緑色 ・雄と雌のどちらも花序が垂れ下がる |
葉 | ・互生 ・ハート形 | ・対生 ・三角状披針形 | ・互生 ・オニドコロよりやや細いハート形 |
ムカゴの有無 | なし | あり | なし |
果実 | ・上向きに付く ・一方にのみ翼がある | ・下向きに付く ・周囲に3個の翼がある | ・上向きに付く ・周囲に3個の翼がある |
季節 | 7月、8月 | 7月、8月 | 7月、8月 |
オニドコロとヒメドコロの違い

ヒメドコロは、雄花・雌花ともに垂れさがった花序となっている点が分かりやすい違いです。
また、葉はオニドコロよりも細長い三角形で全体的に華奢な印象があります。
果実は上向きに付き、種子の周囲にある3個の翼も特徴的です。
オニドコロが見れる場所・植物園
オニドコロの目撃情報や、生育情報が確認された場所は以下の通りです。
・野川公園自然観察園
・神代植物公園植物多様性センター
・雲場池周辺
など
オニドコロの目撃情報
SNS上に寄せられた、オニドコロの目撃情報をご紹介いたします。
オニドコロに関するFAQ
オニドコロについてよくある質問を集めてみました。
・オニドコロは食べることができますか?
・オニドコロの花はどんな形をしていますか?
・オニドコロに毒性はありますか?
オニドコロは食べることができますか?
オニドコロは根茎部分であれば食べることができますが、毒抜きの処理が必要です。
灰汁か重曹で3〜4時間程度煮てから水にさらし、皮を剥いて調理しましょう。
オニドコロの花はどんな形をしていますか?
オニドコロの花は6個の花被片が連なった形になっており、花茎から多数伸びた柄に付きます。
オニドコロに毒性はありますか?
オニドコロにはジオスチンと呼ばれる有毒な成分が含まれており、生のまま食べたり食べ過ぎたりすると消化器が炎症を起こす可能性があります。
オニドコロの育て方
・オニドコロのガーデニング情報
・オニドコロの育て方カレンダー
・オニドコロの栽培方法
オニドコロのガーデニング情報
オニドコロは園芸ショップにて苗が販売されていることもあるので、自宅での栽培も可能です。
食用だけでなく葉や花を使ってドライフラワーにされることもあるため、鑑賞用として育ててみても良いでしょう。
栽培難易度 | ★★★ |
オニドコロの育て方カレンダー
時期 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
開花 | → | → |
オニドコロの栽培方法
環境・土壌
オニドコロは日当たり・水はけの良い場所を好みます。
土壌は選びませんが、鉢植えの場合は鹿沼土と赤玉土の混合用土や市販の山野草用土がおすすめです。
肥料
基本的に肥料は不要ですが、与える場合は月に1回化成肥料を少量施しましょう。
手入れ
庭植えの場合、水やりは降雨に任せて問題ありませんが、日照りが続くようであれば水を与えましょう。
鉢植えの場合は春先から秋までの間は土の表面が乾きしだい水をたっぷりと与え、冬の休眠期は鉢内が乾ききらない程度で控えめに水を与えましょう。
まとめ
オニドコロは、ヤマイモのように厚く発達した根が特徴的なつる性植物です。
根だけでなく葉や花もヤマイモと似ていますが、ムカゴの有無や花、葉の特徴をよく観察すると区別できます。
また、オニドコロには毒性があるため、食用にする際はしっかりと毒抜きをしたうえで加熱調理をして食べましょう。
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