タツナミソウ(立浪草)は、背丈が低く優しく美しい色合いの花をこんもりと咲かせる可憐な野草です。
暑さや寒さに強く育てやすいことから、ガーデニング初心者にもおすすめする植物。
今回はタツナミソウの特徴や花言葉などに加え、タツナミソウの仲間や育て方なども詳しく解説いたします。
タツナミソウ(立浪草)とは?
タツナミソウ(立浪草)とはどんな野草なのか?
タツナミソウ(立浪草)の基本情報について解説いたします。
・タツナミソウ(立浪草)の基本情報
・タツナミソウ(立浪草)の名前の由来
・タツナミソウ(立浪草)の花言葉
タツナミソウ(立浪草)の基本情報
学名 | Scutellaria indica |
英名 | skullcap |
和名 | タツナミソウ(立浪草) |
別名・流通名 | ヒナノシャクシ(鄙の杓子) |
科名 | シソ科 |
属名 | タツナミソウ属 |
原産地 | 日本、台湾、朝鮮、中国中南部、ベトナム |
日本での主な生息地 | 本州~九州 |
タツナミソウ(立浪草)の名前の由来
タツナミソウという名前の由来は、開花した姿が泡を立てながら押し寄せる波に似ているからと言われています。
なお、学名の「Scutellaria」とは「小さな皿」を意味するラテン語が由来とされています。
花びらが落ちた後に残る萼の部分が、お皿のような形状になるからです。
タツナミソウ(立浪草)の花言葉
重みがあり少し恐ろしくも感じる花言葉ですが、すべて同じ方向を向いて咲く花の姿にちなんで付けられたと言われています。
また、タツナミソウの全草を煎じて漢方に用いられていた歴史も由来のひとつです。
タツナミソウ(立浪草)の特徴
タツナミソウ(立浪草)の特徴は以下の通りです。
・タツナミソウ(立浪草)の自生地
・タツナミソウ(立浪草)の花の特徴
・タツナミソウ(立浪草)の花の特徴
花が咲く季節 | 5月、6月 |
実のなる季節 | – |
生活型 | 多年草 |
生活様式 | 地生 |
草丈・樹高 | 200〜400mm |
葉の形 | 単葉(不分裂葉) |
花のつき方 | 総状花序 |
花の色 | 紫、淡紅紫色 |
葉の色 | 緑 |
繁殖方法 | 種、株分け、挿芽 |
日照条件 | 日向を好む |
水分の必要性 | 必要 |
土の必要性 | 必要 |
タツナミソウ(立浪草)の自生地
タツナミソウは日本国内だと北海道を除くほとんどの地域に分布しており、丘陵地の林縁などの半日陰地や草地で育ちます。
海外では台湾、朝鮮、中国中南部、ベトナムに分布しているようです。
タツナミソウ(立浪草)の花の特徴
タツナミソウの花は左右対称になっており、花びらは筒状に一体化しています。
上部で「上唇弁」「下唇弁」に分かれており、上唇弁は波頭のように盛り上がった形状です。
一方で下唇弁は突き出て下降し、紫色の斑点が付いています。
花びらの色は一般的に紫色をしていますが、ときに淡紅紫色に染まっていることもあるようです。
また、よく見ると花冠の部分に腺毛があります。
タツナミソウ(立浪草)の葉の特徴
タツナミソウの葉はまばらに対生しており、葉身の形状は広卵心形や三角状卵形です。
ふちに7〜10対の鋭い鋸歯がある他、葉の両面には軟毛が生えています。
タツナミソウ(立浪草)に似た花

タツナミソウは数多くの変種が存在する植物です。
ここではタツナミソウ属に属する、よく似ている花を特徴と一緒にご紹介いたします。
・タツナミソウに似た花オカタツナミソウ
・タツナミソウに似た花ヤマタツナミソウ
・タツナミソウに似た花シロバナタツナミソウ
・タツナミソウに似た花ツクシタツナミソウ(シソバタツナミソウ)
タツナミソウに似た花オカタツナミソウ

オカタツナミソウは、丘陵地でよく見られることが名前の由来とされています。
周囲の草から頭ひとつ抜け出る程背が高く、上部に大きな葉が付いています。
葉の鋸歯は尖っておらず、ヤマタツナミソウと同様に先が丸いです。
花はタツナミソウやヤマタツナミソウのように縦にずらずらと並ばず、ひとかたまりになって咲いています。
タツナミソウに似た花ヤマタツナミソウ

ヤマタツナミソウは花の形が特徴的で、花びらが斜めに垂れさがっています。
花びらが垂直に立つタツナミソウと見分けるにあたり、これが最も分かりやすいポイントです。
また、上唇弁が濃い紫色をしている一方で、下唇弁は白色で平たく突き出しています。
花びらの綺麗なコントラストもまた、ヤマタツナミソウの特徴です。
タツナミソウに似た花シロバナタツナミソウ

シロバナタツナミソウは、他のタツナミソウ属の花と違い真っ白な花を咲かせることが特徴です。
真っ白な花びらが縦方向にずらりと並んで垂直に立つ様は、まさに「白波」と言えます。
丘陵地だけでなく、海岸沿いでも生育する種類です。
タツナミソウに似た花ツクシタツナミソウ(シソバタツナミソウ)
ツクシタツナミソウは沢沿いの林などに生息しており、茎に生えているうえ向きの短毛が特徴です。
茎から出る葉が上部へいくにつれて小さくなる点も、ツクシタツナミソウと他の花を見分けるポイントの一つと言えます。
葉は卵形をしており、葉脈に紫褐色の斑模様が入っていることが多いです。
また、葉の裏面も紫褐色を帯びているものがあります。
<比較表>
比較 | タツナミソウ | オカタツナミソウ | ヤマタツナミソウ | シロバナタツナミソウ | ツクシタツナミソウ |
花 | ・基本的に紫色 ・垂直に立った花びらが縦方向へ並んでいる | ・紫色や白色をしている ・垂直に立った花びらが同じ高さで並んでいる | ・薄紫色 ・平べったい唇形の花びらが斜めに垂れさがっている | ・花全体が白色をしている ・垂直に立った花びらが縦方向へ並んでいる | ・基本的に紫色 ・垂直に立った花びらが縦方向へ並んでいる |
葉 | ・形状は広卵心形から三角状卵形 ・縁に7~10対の鋭い鋸歯がある・両面に軟毛が生えている | ・形状は広卵心形から三角状卵形 ・縁に丸みを帯びた鋸歯がある | ・形状は卵状3角形で薄い ・縁に鋭い鋸歯がある ・無毛 | ・形状は広卵心形から三角状卵形 ・縁に丸みを帯びた鋸歯がある | ・形状は広卵心形から三角状卵形 ・縁に丸みを帯びた鋸歯がある ・上部へ行くにつれて小さくなる |
季節 | 5~6月に開花 | 5~6月に開花 | 5~6月に開花 | 5~6月に開花 | 5~6月に開花 |
タツナミソウ(立浪草)に関するFAQ
タツナミソウ(立浪草)についてよくある質問を集めてみました。
・タツナミソウの種類はどんなものがありますか?
・タツナミソウの花は何色ですか?
・タツナミソウの種はどんな形をしていますか?
・冬場のタツナミソウはどんな状態ですか?
タツナミソウの種類はどんなものがありますか?
タツナミソウ属に分類される植物は世界で約200種も分布しており、日本には16種が自生しています。
多くはタツナミソウと同じく唇形の花を咲かせますが、色や花の付き方、葉の形状などが見分けるポイントです。
タツナミソウの花は何色ですか?
タツナミソウの花は基本的に紫色ですが、種類によっては淡紅紫色や白色の花を咲かせる場合もあります。
タツナミソウの種はどんな形をしていますか?
タツナミソウの種は2枚に重なった萼の中の果実に4つ入っており、黒く丸い形をしています。
冬場のタツナミソウはどんな状態ですか?
タツナミソウは冬になると、地上部が枯れてしまいます。
しかしこれは越冬するための休眠状態なので、枯死してしまったわけではありません。
タツナミソウの育て方
・タツナミソウのガーテニング情報
・タツナミソウの育て方カレンダー
・タツナミソウの栽培方法
タツナミソウのガーデニング情報
栽培難易度 | 簡単 |
株間 | 10cm〜15cm |
種まきの時期 | 2月、3月 |
発芽温度 | – |
生育温度 | – |
耐寒温度 | 耐寒性は普通 |
耐暑温度 | 耐暑性は強い |
タツナミソウの育て方カレンダー
時期 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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開花 | → | → | ||||||||||
植え付け、植え替え | → | → | → | → | ||||||||
肥料(鉢植え) | → | → | → | → | ||||||||
肥料(庭植え) | → | → | → | → | ||||||||
種まき | → | → |
タツナミソウの栽培方法
タツナミソウは種まきの他、株分けや挿し芽で増やすことができます。
種まきから始める場合、種は採取してからすぐまくか、保管しましょう。
保管する場合は封筒などに入れたあと、さらに乾燥剤と一緒に密閉容器へ入れて冷蔵庫に置いておきます。
環境・土壌
栽培する場所は日向から半日陰が適しており、水はけのよい土壌を好みます。
水が溜まるような場所や完全な日陰でなければ問題なく、土質を選ばず栽培可能です。
芽出し
タツナミソウは発芽率が低く、種をまいてから発芽まで2年程度かかります。
底植
庭に植える際、水はけが悪い環境であれば用土に腐葉土を混ぜ込んでから植えましょう。
鉢植えの場合は市販の草花用培養土か、赤玉土(小粒)7:腐葉土3など一般的な配合土を使います。
肥料
庭植えの場合、肥料は特に必要ありません。
鉢植えの場合は3月〜4月、6月〜7月に少量の緩効性肥料を施します。
肥料を与えすぎると草姿が乱れるため、少なめを心がけて与えましょう。
手入れ
庭植えの場合はほぼ降雨のみで育ちますが、鉢植えの場合は用土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えましょう。
なお、病害虫による被害はほとんどないため特別な対処は不要です。
まれにハダニが発生しますが、見つけ次第駆除すれば問題ありません。
植替え
庭植えの場合は植替えの必要はありませんが、増えすぎた場合は株分けしましょう。
鉢植えの場合は1年に1回、植替えを行います。
ひと回り大きな鉢へ植替えるか、株分けを行うことで寝詰まりを防ぐことができます。
まとめ
タツナミソウは波が立ったような花びらを持つ、ユニークな野草です。
非常に多くの変種が存在しており、どれも似たような外見をしていますが花や葉などの特徴をよく見比べれば区別することができます。
自分で花を育てたうえで鑑賞したい方は、栽培に挑戦してみても良いでしょう。
ただし種まきから始めると発芽まで時間がかかるため、最初は株分けや挿し芽がおすすめです。
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