ナンテンハギ(南天萩)は食用可能な山菜として親しまれる野草で、あずきな(小豆菜)という別名をもちます。
本記事では、ナンテンハギの花や葉などの特徴から似た花の種類と見分け方などについて解説いたします。
記事後半では、ナンテンハギの美味しい食べ方やナンテンハギの育て方も紹介していますので、最後までご覧ください。
ナンテンハギとは?
ナンテンハギとはどんな野草なのか?
ナンテンハギの基本情報について解説いたします。
・ナンテンハギの基本情報
・ナンテンハギはあずきな(小豆菜)という名で親しまれている
・ナンテンハギの花言葉
ナンテンハギの基本情報
学名 | Vicia unijuga |
英名 | Two-leaf vetch |
和名 | ナンテンハギ(南天萩) |
別名・流通名 | アズキナ(小豆菜)、フタバハギ(双葉萩)、タニワタシ(谷渡) |
科名 | マメ科 |
属名 | ソラマメ属 |
原産地 | 日本、朝鮮半島、中国、シベリア東部、極東ロシア |
日本での主な生息地 | 北海道~九州 |
ナンテンハギはあずきな(小豆菜)という名で親しまれている
飛騨地方に住まう方、特に山菜を好んで食べる方は「あずきな(小豆菜)」という名前を一度は聞いたことがあるはずです。
あずきなの若芽は独特の風味が後を引く山菜で、天ぷら・おひたし・油炒めなど様々な料理にして美味しく食べることができます。
山菜としての流通名は「あずきな」ですが、正式名称をナンテンハギ(南天萩)といいます。
流通名は茹でるとあずきに似た香りがすることから付いたもので、ナンテンハギとは呼び方以外の違いはありません。
ナンテンハギの花言葉
美しい紫色をしていながら、とても小さく控えめな花の姿を表したような花言葉が付いています。
ナンテンハギの特徴
ナンテンハギの特徴は以下の通りです。
・ナンテンハギの自生地
・ナンテンハギの花の特徴
・ナンテンハギの葉の特徴
・ナンテンハギの実の特徴
・ナンテンハギの種の特徴
花が咲く季節 | 6~10月 |
実のなる季節 | – |
生活型 | 多年草 |
生活様式 | 地生 |
草丈・樹高 | 500〜1000mm |
葉の形 | 偶数羽状複葉 |
花のつき方 | 総状花序 |
花の色 | 紫 |
葉の色 | 緑 |
繁殖方法 | 種 |
日照条件 | 日向 |
水分の必要性 | 必要 |
土の必要性 | 必要 |
ナンテンハギの自生地
ナンテンハギは日本・朝鮮半島・中国・シベリア東部・極東ロシアを原産地とする野草で、
日本国内では北海道・本州・四国・九州と広い範囲に分布しています。
日当たりが良い山野の草地や土手、林縁などに自生していることが多いです。
ナンテンハギの花の特徴
ナンテンハギは、葉腋から長さ30〜100mm程度の総状花序を出します。
花は紅紫色をした長さ10〜150mmの蝶形花で、片側に偏って多数付きます。
ナンテンハギの葉の特徴
ナンテンハギの葉の形状は基本的に2つの小葉が1組みになった複葉で、互生しています。
小葉はやや革のような質感があり、長さ40〜70mm・幅15〜40mm程度の卵形でナンテン(南天)の葉によく似ています。
小葉の基部にトゲのような突起がありますが、これは退化した頂小葉です。
多くのマメ科植物は葉に巻きひげをもちますが、ナンテンハギにはありません。
ナンテンハギの実の特徴
マメ科植物であるナンテンハギは、花が終わると豆さやのような実を付けます。
実は長さ30mm・幅6mm程度あり、完熟して乾燥すると種を露出させます。
ナンテンハギの種の特徴
ナンテンハギの種は、実の中に3〜7個入っています。
大きさは径3mm程度で、球形です。
ナンテンハギと似た花

ここでは、ナンテンハギに似ている花の種類と見分け方をご紹介いたします。
・ナンテンハギとツルフジバカマの違い
・ナンテンハギとヤブマメの違い
・ナンテンハギとクサフジの違い
・ナンテンハギとエビラフジの違い
<比較表>
比較 | ナンテンハギ | ツルフジバカマ | ヤブマメ | クサフジ | エビラフジ |
花 | ・紅紫色 ・爪部にやや長さがある | ・紅紫色 ・爪部が短い | ・白色と紫色 ・地上に開放花と閉鎖花、地下に閉鎖花がある | ・青紫色 ・爪部が短い | ・紅紫色 ・爪部にやや長さがある |
葉 | ・1対の小葉からなる複葉 ・巻きひげがない | ・5~8対の小葉からなる複葉 ・両面に軟毛がある ・巻きひげがある | ・3つの小葉からなる複葉 ・両面に短毛がある ・巻きひげがある | ・9~12対の小葉からなる複葉 ・巻きひげがある | ・8~12枚の小葉からなる複葉 ・巻きひげがない |
茎 | 斜めに直立 | つる性 | つる性 | つる性 | 斜めに直立 |
草丈 | 500〜1000mm | 2,000m(長さ) | 2,000m(長さ) | 1,500m(長さ) | 500〜1000mm |
季節 | 6~10月 | 8~10月 | 8~10月 | 5~9月 | 6~10月 |
ナンテンハギとツルフジバカマの違い

ツルフジバカマは、つる性の茎を伸ばして他の植物に巻き付きながら伸びる形状が特徴的です。
また、葉にはナンテンハギにない巻きひげと両面の軟毛があります。
花は紅紫色の蝶形花ですが、花弁の爪部(筒状の部分)はナンテンハギより短いです。
ナンテンハギとヤブマメの違い

ヤブマメもつる性の茎をもつマメ科植物です。
葉は羽状になった3つの小葉からなる複葉で、両面に短毛があります。
花は白色で花弁の先端は紫色に染まる他、地上で開く開放花・花弁が閉じる閉鎖花・地中の閉鎖花と3種類あることも特徴です。
ナンテンハギとクサフジの違い

クサフジの茎もつる性で、ツルフジバカマやヤブマメよりはやや短いです。
葉は9〜12対の小葉からなる複葉で、先に枝分かれする巻きひげがあります。
花の爪部は短くツルフジバカマに似ていますが、青みがかった紫色をしています。
ナンテンハギとエビラフジの違い

ナンテンハギとエビラフジはとてもよく似ていますが、葉の形状は8~12枚の小葉からなる複葉です。
また、自生地は本州の東北地方~関西地方の日本海側で、湿り気のある林内で生育するという特徴もあります。
ナンテンハギ(あずきな)は山菜として食べることができる
先述の通りナンテンハギの若芽は食べることができ、「あずきな」という山菜として親しまれています。
ここでは、ナンテンハギの美味しい食べ方をご紹介いたします。
・ナンテンハギ(あずきな)の下処理
・ナンテンハギ(あずきな)のレシピ①:天ぷら
・ナンテンハギ(あずきな)のレシピ②:ごま味噌和え
ナンテンハギ(あずきな)の下処理
天ぷらや炒め物に使用する場合は生のままで問題ありませんが、あえ物やおひたしにする場合はやや青臭さく感じるため以下の手順で下処理を行いましょう。
ナンテンハギ(あずきな)のレシピ①:天ぷら
ナンテンハギの天ぷらは、飛騨地方の高山祭や古川祭におけるごちそうの1つとして人気な料理です。
サクサクとした食感と、豆特有のこっくりとした旨味を楽しむことができます。
作り方は以下の通りです。
ナンテンハギ(あずきな)のレシピ②:ごま味噌和え
ナンテンハギの旨味と、ゴマ味噌の香り高い風味がよく合う一品です。
下処理を行ってから、以下の手順で作ります。
ナンテンハギが見れる場所・植物園
ナンテンハギの目撃情報や、生育情報が確認された場所は以下の通りです。
・皇居東御苑
・国立科学博物館附属 自然教育園
・栗田美術館 陶磁会館付近
・高尾山付近
・小石川植物園
など
ナンテンハギの目撃情報
SNS上に寄せられた、ナンテンハギの目撃情報をご紹介いたします。
ナンテンハギに関するFAQ
ナンテンハギについてよくある質問を集めてみました。
・ナンテンハギは販売されていますか?
・ナンテンハギの簡単な見分け方はありますか?
ナンテンハギは販売されていますか?
ナンテンハギは園芸用の苗や種子はもちろん、食材としての若芽も販売されていることが多いです。
ナンテンハギの簡単な見分け方はありますか?
ナンテンハギは他のマメ科植物にあるような巻きひげが葉にないこと、複葉は2枚で1対になっていることに注目すれば区別が可能です。
ナンテンハギの育て方
・ナンテンハギのガーデニング情報
・ナンテンハギの育て方カレンダー
・ナンテンハギの栽培方法
ナンテンハギのガーデニング情報
ナンテンハギは園芸ショップやインターネットショップなどで種子や苗がふつうに販売されており、手間がかからないため初心者も簡単に育てることができます。
栽培難易度 | 簡単 |
株間 | 10~15cm |
種まきの時期 | 4~6月 |
発芽温度 | 20℃ |
生育温度 | 20~25℃ |
耐寒温度 | 0℃ |
耐暑温度 | 25℃ |
ナンテンハギの育て方カレンダー
時期 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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開花 | → | → | → | → | → | |||||||
種まき | → | → | → |
ナンテンハギの栽培方法
環境・土壌
ナンテンハギの栽培環境としては、日当たりと水はけの良い場所が適しています。
ただし夏場〜秋にかけて半日陰〜日陰を好むため、庭植えの際は落葉樹の下などに植えると良いでしょう。
用土は特に選びませんが、腐葉土を多く混ぜ込んだ土を使うとより増えやすくなります。
芽出し
ポットに培養土を入れ、種を直接まきます。
覆土は1cm程度で十分です。
肥料
肥料は基本的に不要です。
手入れ
水やりについては、庭植えの場合は降雨に任せて問題ありません。
鉢植えや日照り続きの場合は、土の表面が乾いた段階で水を与えましょう。
食用にする場合は春の芽出し頃、若く活き活きとした葉を採取しましょう。
まとめ
ナンテンハギは「あずきな」という別名の山菜として流通しており、クセがなく豆のような旨味が特徴的です。
クサフジバカマやエビラフジなどとよく似ていますが、葉の枚数や巻きひげの有無に注目すれば簡単に見分けることができます。
自家栽培でも簡単に育つので、自分で育てたナンテンハギを収穫して楽しむという楽しみ方もおすすめです。
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